【和歌山利宏コラム】 今年のスーパーバイク世界選手権を2戦、観戦して思うこと

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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今シーズンは、SBKスーパーバイク世界選手権を2大会、観戦する機会に恵まれました。最初のヨーロッパラウンドとなる第3戦スペイン、アラゴン大会と、ヨーロッパラウンド中にアジアに飛び火したかのようなマレーシア、セパン大会です。

6年ぶりのSBK観戦で思う「観客数の低下」

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アラゴン大会はピレリがイベントメインスポンサーで、翌日にロッソⅢの試乗会が行われ、またセパンは翌日にピレリのアジア・オセアニア地区の試乗会が行われたため、観戦が実現したのです。
私にとっては6年ぶりのSBKとなり、様変わりしていることも実感させられた次第です。

まず意外だったのは、両大会とも観客が少なかったことです。観客数の低下を理由の一つに、2003年を最後に開催されなくなったSUGO大会にしても、もっと観客は多かったと思えるほどです。

アラゴンはバルセロナやヴァレンシアからも数時間掛かるほど地の利が悪く、おまけにそれら3つのサーキットではモトGPも開催されるのですから、人が集まりにくいということもあるでしょう。秋にはモトGPが行われるセパンも同様です。

それに、全体としてSBKは観客数が減少傾向にあるようです。このことに対しスターライダー、レジェントライダーが少なくなっていることを理由に挙げる欧州のジャーナリストもいます。確かに、以前ほどはメーカーが凌ぎを削る熱さもなくなっています。

レース文化の定着する欧州でも「市場の活性化」がカギを握る

でも、それだけでしょうか。

日本では25年前にバイクブームが終焉を迎えた後、しばらくすると人々の注目も徐々にレースから遠ざかっていきました。
先進諸国では経済恐慌の影響もあってバイク市場が沈滞し、ことスーパースポーツは人気が去ってしまったことが大きな原因と思えてならないのです。いくらレースが文化として定着している欧州でも、やはり市場が活性化していないといけないのです。

それでも、市販車ベースのマシンで競われるSBKには、モトGPにはない興味があります。

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それに、実にいいレースを見せてくれます。特に、元モトGPチャンピオンのニッキー・ヘイデンがトップを守りきったセパンの第2ヒートは、素晴らしいものでした。

【関連ニュース】
◆[HONDA]SBK Rd.6 ヘイデンが第2レースで初優勝。

若手を指導するトップライダーの姿

 
そして、もう一つ。SBKが新人の育成と登竜門の場となり、引退したトップライダーが若手の指導に当たっていることも新鮮でした。

アラゴンでは、ピレリカップの初代チャンピン、國川浩道選手がスーパースポーツに参戦し、スタート直後の多重転倒に巻き込まれたのは残念でしたが、國川選手の友人として青山博一さんがサポート役を務め、また大久保光選手のアドバイザーとして伊藤真一さんが来ていました。

さらにセパンでは、併催のアジア・タレントカップでは宮崎祥司さんが日本人ライダーのアドバイザー役を務めるなど、これからの日本人の活躍を期待させてくれました。

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wkcl_20160609-004▲アジア・タレントカップ、アドバイザーの宮崎祥司さん

SBKを観るに当たり、また日本のSUGOに「SBK」という大会が戻って来てくれればと思ってしまう私だったのです。

和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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