【ケニー佐川 コラム】ライダーは何故ヒザを擦りたがるのか!?

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

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先日、二輪専門誌「MOTO NAVI」が主催するサーキットイベントのお手伝いに、「ツインリンクもてぎ」まで行って参りました。

趣味でバイクを愉しむ大人たちのイベント

サーキットと言っても、いわゆる走行会のようにタイム計測したり、速さを追求したりするのではなく、趣味でバイクを楽しむ大人のライダーが集まってサーキットで遊びましょう、といったユルい主旨のイベントでした。

とはいえ、場所が場所だけにほとんどの参加者はレザースーツをしっかり着込んで、先導役のインストラクターも名だたるプロライダーが務めるなど内容も充実。
私もアクティビティのひとつとして「ヒザ擦り体験」レッスンを担当させていただきました。

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「ヒザ擦り」は必要なものなのか?

「ヒザ擦り」とはコーナーを曲がるときにイン側のヒザを突き出して路面に当てていく乗り方のことで、ロードレースなどでよく目にする光景かと思います。とはいえ、バイクに乗らない人には摩訶不思議なフォームに見えるでしょうし、バイク乗りでもレースやスポーツライディングに興味のない人にとっては”ちょっと危ない乗り方”に感じてしまうかもしれません。

実際、ヒザ擦りに否定的な人からは「バイクを深く傾けるので転びそう」だとか、「自分はそんなに飛ばさないので必要ない」という意見も多く聞かれます。もちろん、いろいろな考え方があって然るべきですし、公道走行ではたしかに「ヒザ擦り」は必要ないものです。

でも、その中にはもしかしたら誤解されている部分もあるかもしれません。

“走りのイメージが劇的に変わる”事実

話を戻して、先日の「ヒザ擦り体験」ですが、10人ほど参加してくれた方がいらっしゃって、約1時間ちょっとの中で結果的に8人ほどが初ヒザ擦りに成功していました。

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いきなり参加者ご自身のバイクでとなるとさすがにリスクも高いので、最初は当方で用意した100ccの原付バイクでトライしていただきます。小型軽量のバイクで行うことで、より手軽かつ安全にヒザ擦りの感覚を養うことができますし、万が一転倒してしまってもバイクやライダーのダメージも最小限で済むからです。

ちなみに普段のスクールでは、1日かけてみっちりトレーニングするので100%達成が目標なのですが、まあ今回は短時間たったので達成率8割で良しとすることに(笑)。

さて、ここで言いたかったことは、彼らの反応です。「ヒザ擦り」できた方全員が口を揃えて「安定感や安心感が増した!」と言ってくれましたし、時間切れでできなかった方も「だんぜん乗りやすくなった!」と。

その後の本コース走行で、いきなり自分のバイクで擦れてしまったと満面の笑顔で報告してくれた方も何人かいらっしゃいました。私も皆さんの喜ぶ様子が見られたときほど嬉しいことはありません。これぞインストラクター冥利に尽きる瞬間ですが、何故皆さんそこまで走りのイメージが劇的に変わるのでしょう?

車体操作の限界を知る。具体的なイメージを得る。

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ひとつはバンク角に対する恐怖から解放されるからに他なりません。ヒザを路面に当てることで、自分が今どれぐらい車体を傾けて曲がっているのかがイメージしやすくなります。

逆にヒザを閉じたまま、どんどんペースが上がってバンク角が深くなってくると、いつ限界が訪れるか不安で仕方なくなり、緊張から力んでしまい上手くバイクを操れなくなってしまいます。ヒザを擦ることで、「ここまでは大丈夫」と具体的なイメージとして感じとることができるため、安心感がまるで違ってきます。

そのためには、毎回同じように正確なハングオフフォーム(腰をイン側に落とし込むフォーム)を作ることが大事ですが、逆に言うとそのフォームをいつでも再現できることが、スポーツライディングに必要とされるダイナミックな身体動作や外足のホールド、上体のリラックスにもつながっていきます。

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また、ヒザを路面に当てることで(それだけ腰を中心とした体重移動ができているため)旋回力を高められたり、スライドに対応しやすくなったり(瞬間的にでも前後輪+ヒザに荷重を分散できるため)、といろいろなメリットがあります。

「ヒザ擦り」の本当のメリット

先に紹介した「ヒザ擦り」体験者の反応ですが、きっとこうしたメリットを体で感じられたからこそ自然に出てきた言葉だったのではないでしょうか。つまり「自在性」です。

バイクという精密機械を自在に操れている実感、バイクとの一体感を得られた瞬間の自分自身のアップグレード感ではなかったかと。難しい話は抜きにして単に「カッコいいから!」というのもアリだと思いますけど(笑)。

繰り返しになりますが、あくまでも「ヒザ擦り」はサーキットなどの安全管理されたクローズドコースでこそ可能な走り方であって、公道における安全運転とは混同しないで欲しいです。バイクでいい汗をかきたいなら、ぜひサーキットで遊びましょう!

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ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

国産・外車を問わずミニモトからビッグバイクまで、どんなバイクでも乗りこなすモータージャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。
16歳から乗り継いだバイク30台、テストライド経験300台以上。装備や用品、カスタムパーツのテストも数多くこなしてきた。
MFJ公認インストラクター。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。

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