【和歌山利宏 コラム】中国にもバイク文化は芽生え始めていた

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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「中国にバイク文化を根付かせたい。」 講師として初訪問

先日、中国にライディングスクールの講師として向かった。私にとって中国は初訪問で、久々に貴重な経験をすることができました。

クシタニ北京店のオーナーである李さんの「中国にバイク文化を根付かせたい」との強い要望に応え、「北京安全運転講習」を開催することになり、私に加えクシタニ本社からの3人、今回は補佐役に回って頂いた岩崎勝さん(スズキワークスライダー、ブルーフォックス監督、ヤマハでのレーシングサービスやスクール講師を歴任)という強力布陣での訪中となったのです。

【中国特有の交通事情】意思表示

受けたカルチャーショックの中で交通にまつわる事柄を紹介しますと、それは一つに、交通は中国人特有の厚かましさや自己主張で成り立っていることです。日本のように鼻先を出して「譲ってくれたら嬉しいな」ではなく、彼らははっきり進路を塞ぎ、自分が通るという意思表示をします。

クラクションもうるさいのですが、それも多くの人間が生息する中で、自分の存在を知らしめる行為だと思えてきます。

【中国特有の交通事情】経済格差

交通には経済格差も思い知らされます。北京では周囲のクルマが全て、1,000万円級の高級車であることが珍しくありません。しかも、中国での価格は課税によって日本の2倍もするのです。
その一方で、くくり付けたリヤカーに家族を乗せて往来する自転車も見かけます。人口の1割の富裕層に膨大な富が集中しているのです。

中国ではバイク文化は育っていないと言われていますが、そうでもありません。ほとんどの日本、欧州、米国製のバイクが輸入され、走っています。

ただ、四輪車同様、価格は日本車の2倍です。そのうえ、市内への進入が可能な「Aナンバー」を取得するには200数十万円も必要(枚数が限られていて、空きが出次第、売れていくらしい。上海ではもっと高額とのこと)なのです。

スクールには多くのR1200GSが集まっていましたが、彼らはそれらに1000万円ほど払っていることになります。やはり、中国でのスポーツバイクは、まだ富裕層だけのもののようです。

中国バイク関連業者の思い

そして、中国に対するイメージからすると、そんな富裕層を相手にするバイク関連業者は、さぞかし儲け主義の金の亡者でないかとさえ思ってしまいますが、決してそんなことはありません。
何より、クシタニ北京店の李さんは、日本の大学を卒業後、日中交流の旅行業界に関わり、国際感覚をお持ちで、今回のスクールを企画するという志の高い方です。

また、李さんに紹介されたBMWディーラー経営の陣さんは、中国で広がりつつあるマシンのパフォーマンスを主体としたライテクに否定的で、扱う人間がしっかりとパフォーマンスを高める「正しい文化」を広めなければならないと語ります。

それにしても、彼のショップのクラブハウスはさながらビール醸造所のようで、ビールタンクを5基も備え、皆が楽しむ環境を作り、文化を構築していこうというスケールの大きさを感じさせます。

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手応えを感じられた安全運転講習

さて、肝心のスクールですが、日本でのような規律の良さはまだ徹底できなかったものの、皆さん熱心で、手応えを得ることができました。また、取材メディアの一つは、「既存のライテクはマシン主体だが、これは人間が主役として扱われている」と評してくれたようです。

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新しいバイク文化への使命感

日本の10倍もの人口を有する中国でのバイク文化はまだ産声を上げたばかり。それだけに、今、正しい方向を示さなけれならないとの使命感にも駆られます。

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和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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