【賀曽利隆 コラム】アフリカ大陸縦断(3)

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

》【前回】アフリカ大陸縦断(2)

支払いの通貨はアメリカドル。カソリ、50億ドル紙幣を手に…

第5番目の国ジンバブウェのビクトリア・フォールズの町には昼まで滞在した。町を歩き、スーパーマーケットやみやげ物店を見てまわり、町中のレストランで昼食。「ライス&ビーフ」を食べた。昼食代は2ドル(約200円)。クシャクシャの1ドル札2枚で食事代を払った。ドルはアメリカドルだ。

ビクトリア・フォールズのキャンプ場
▲ビクトリア・フォールズのキャンプ場
昼食の「ライス&ビーフ」を食べる
▲昼食の「ライス&ビーフ」を食べる

ビクトリア・フォールズのスーパーマーケット

まもなく90歳になろうかというムガベ大統領の独裁がつづくジンバブウェの経済は破綻し、自国の通貨「ジンバブウェ・ドル」は崩壊してしまった。そのためアメリカドルを使っている。なんと以前の通貨はみやげ物屋で売っている。

信じられないことだが「ビリオン(10億)」紙幣があるのだ。1ビリオン紙幣は10憶ジンバブウェ・ドル、5ビリオン紙幣は50億ジンバブウェ・ドルということになり、数字の0がズラズラズラッと並んでいる。

これがジンバブウェの50億ドル紙幣▲これがジンバブウェの50億(ジンバブウェ)ドル紙幣

現在、ジンバブウェで流通しているアメリカドルの紙幣は国内では使えても、他国ではまず使えない。両替しようとしても替えてもらえないないからだ。それほどボロボロのドル紙幣なのである。信じられないような話だが、世界にはこういう国もある。

ボツワナ国境に向かう。道中の路面には大量の…

ビクトリア・フォールズの町を出発。ボツワナ国境をめざしてザンベジ川の南側の道を行く。路面には象の巨大な糞がドサッ、ドサッと落ちている。まだ新しい。道を横切るかもしれない象には最大限の注意を払ってDR-Z400Sを走らせた。と同時に、象に出会えるかもしれないという期待感もあった。

ビクトリアフォールズの町から70キロで、国境の町カズングラに到着。幸いにもというべきか、残念ながらというべきか、この間では象との遭遇はなかった。カズングラは世界でも唯一の4国国境。ザンベジ川の中央でジンバブウェ、ボツワナ、ザンビア、ナミビアの4ヵ国が接している。

第6の国ボツワナ入り。”繋がる”食文化

ジンバブウェの出国手続きとボツワナの入国手続きを終え、第6番目の国ボツワナに入った。ボツワナ側の国境の町もカズングラ。この町の中国人の店で両替してもらった。1ドルが8プーラ(1プーラは約12円)。中国人の店はかなり大きな雑貨屋でレジは若い中国人女性。辺境の地にもしっかりと根をおろしている中国人のすごさを感じてしまう。

ボツワナの通貨、プーラを手に入れると、さっそくショッピングセンターのファストフード店でパパとフィッシュ&チップス、肉汁を買って食べた。パパはトウモロコシの粉を熱湯で練り固めたもの。それを肉汁と一緒に食べる。ケニア、タンザニアのウガリ、マラウィ、ザンビア、ジンバブウェのシーマと同じものだ。

無人の荒野をひた走る。ついに出会えた!

カズングラからは無人の荒野を300キロほど走ってナタへ。その間では何度も象を見た。10頭近い群れも見た。
最初のうちは「おー、象だ、象だ!」とDR-Z400Sに乗りながら歓声を上げていたが、そのうちに慣れてしまい、あたりまえの光景になった。「カズングラ→ナタ」間では、全部で20数頭の象を見た。

ボツワナに入ると象との出会いが待っていた!
▲ボツワナに入ると象との出会いが待っていた!
楽しい夕食。ナタで泊まった「ナタロッジ」で
▲楽しい夕食。ナタで泊まった「ナタロッジ」で

熱帯圏の砂漠で、まさかの大雨

ナタでひと晩泊まり、ナタからはカラハリ砂漠の北縁を走る「トランス・カラハリ・ハイウェイ」でナミビア国境に向かっていく。

「トランス・カラハリ・ハイウェイ」を行く▲「トランス・カラハリ・ハイウェイ」を行く

交通量は極少。制限速度は120キロ。走り出してまもなく雨になった。「何で砂漠で雨に降られるの?」と思わず声が出る。しかし、このあたりは砂漠とはいっても12月から3月にかけてが雨期で、それもかなりの量が降る。青々と茂る街道沿いの草木がそれを証明していた。

ナタから320キロ走りマウンの町に到着。郊外の「シタトゥンガ・キャンプ場」に泊まったが、雨中のキャンプ。翌日も朝から雨が降っている。このあたりは南緯20度で熱帯圏なのだが、冷たい雨に降られ、体はすっかり冷え切ってしまう。

途中のガソリンスタンドでは、レストランの屋根の下でしばしの雨宿り。カラハリ砂漠でこれだけの雨に降られるとは…。

マウンから280キロのハンジでは「ホテル カラハリ」に泊まった。これが屋根のありがたさというもので、部屋の中を満艦飾りにして濡れたウエアやブーツなどを干した。

部屋の中を満艦飾りにして濡れたものを干す
▲部屋の中を満艦飾りにして濡れたものを干す
ハンジのスーパーマーケットの店内
▲ハンジのスーパーマーケットの店内

第7の国ナミビアへ。降り続く大雨…道路が冠水!

ハンジを出発した日も朝から雨…。この日はナミビアの首都ウイントフックまでの長距離を走るのでまだ暗い5時に朝食を食べ、6時に出発。「トランス・カラハリ・ハイウェイ」を西へ、西へと走る。

雨をついて110キロ走ると国境に到着。ボツワナの出国手続き、ナミビアの入国手続きを終えて第7番目の国ナミビアに入ったのは11時。国境通過で1時間半、かかったことになる。

国境のレストランで昼食。「パパ&ビーフ」を食べた。ナミビアでもボツワナと同じように、トウモロコシの粉を熱湯で練ったものをパパという。

ナミビアに入って食べた「パパ&ビーフ」▲ナミビアに入って食べた「パパ&ビーフ」

昼食を食べると、「トランス・カラハリ・ハイウェイ」をさらに西へ。ナミビアでもカラハリ砂漠北縁のこの道を「トランス・カラハリ・ハイウェイ」といっている。

国境から120キロ行ったゴアビスの町は、すごいことになっていた。降りつづく大雨で水があふれ、道路は冠水していた。町中水びたし。それはまるで「砂漠の洪水」といった光景だ。

広がる青空。やっと雨具を脱げる!

ナミビアの首都ウィントフックに近づくと、ついに雨雲は消え去り、青空が広がった。ウイントフック国際空港の近くまで来たところでバイクを止め、我々は雨具を脱いだ。雨具を脱ぐときのうれしさといったらない。

ついに晴れてきた!▲ついに晴れてきた!

「砂漠の大雨」を乗り越えて

ハンジから520キロ走り、16時30分、ウィントフックに到着。

ナミビアの首都ウィントフックに到着▲ナミビアの首都ウィントフックに到着

中心街を走り抜け、郊外の大規模なリゾート施設「アレブッシュ・ロッジ」のキャンプ場にテントを張った。「アレブッシュ・ロッジ」のレストランで夕食。我々はビールを飲みながら、「砂漠の大雨」談義でおおいに盛り上がるのだった。

「アレブッシュ・ロッジ」できれいな夕焼けを見る▲「アレブッシュ・ロッジ」できれいな夕焼けを見る

【賀曽利隆 コラム】アフリカ大陸縦断(4)に続く

賀曽利隆

賀曽利隆冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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