【賀曽利隆 コラム】アフリカ大陸縦断(2)

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

》【前回】アフリカ大陸縦断(1)

世界最大の地溝帯と、長い長いマラウィ湖

南北に細長い国、マラウィを南下する。首都のリロングウェに通じる幹線道路で2車線の舗装路なのだが、交通量はきわめて少ない。タンザニアのように大型トラックや大型バスと頻繁にすれ違うこともない。そのかわり自転車が多くなった。

マラウィを南下する。「さー、行くぞ!」▲マラウィを南下する。「さー、行くぞ!」

右手に見える山並みはグレートリフトバレー(大地溝帯)の西縁。北は中東のヨルダン河谷から南はザンベジ河口までつづくグレートリフトバレーは世界最大の地溝帯だ。この先、何万年か何億年か知らないが、アフリカ大陸が2つに割れるときはこの線で割れるのは間違いない。

南北580キロという世界第10位の大湖、マラウィ湖はこのグレートリフトバレー内にある。左手にはマラウィ湖が見えてくる。このあたりが湖の北端。それにしても、とてつもない長さだ。日本にあてはめれば東京から大阪までが湖ということになる。行けども行けどもマラウィ湖を見つづけながら相棒のDR-Z400Sを走らせる。

湖畔でキャンプ。美しい夕日と地ビールで乾杯!

マラウィでの第1夜目はマラウィ湖畔でのキャンプ。「チティンバ・キャンプ場」のテントサイトはきれいな芝生。湖畔にはファイヤー・プレースもある。さっそく焚き木を集めて焚火した。大きな夕日がマラウィ湖対岸のタンザニアの山々に落ちていく。

マラウイ湖畔の「チティンバ・キャンプ場」に到着
▲マラウイ湖畔の「チティンバ・キャンプ場」に到着
マラウィ湖に落ちる夕日
▲マラウィ湖に落ちる夕日

夕食はキャンプ場内のレストランで。まずはマラウィ産のビール「クチェクチェ」で乾杯。そのあとライス&ビーフの夕食を食べた。

翌日もマラウィを南下!…が、思わぬストップ。

マラウィを南下し、マラウィ中部のムズズを過ぎたところでは、警官に止められた。「しまった!」と思ったときはもう遅い。スピード違反で捕まった。スピードガンでの計測。30キロオーバーの罰金の5,000クワチャ(約1,250円)はその場で払った。

まだまだ続く、マラウィ湖畔で連泊。

マラウィ湖畔のンカタベイでは連泊した。驚いたことに港には1,000トン以上はありそうな大きな船が停泊していた。マラウィ湖の湖畔に造船所があるとも思えないので、「いったい、どこから運び入れたのだろう」とメンバー全員で頭をひねった。

ここではひと晩、仲良くなったトーマスの家で泊めてもらった。星空の下、ランプの灯りでの夕食は忘れられない。シーマと肉汁を手づかみで食べるのだが、トーマスはぼくの方にそっと肉を多く入れてくれた。

マラウィ湖で湖水浴をする人たち
▲マラウィ湖で湖水浴をする人たち
バイクを見に集まってくるマラウィの子供たち
▲バイクを見に集まってくるマラウィの子供たち

首都に近づき、マラウィ湖を離れる

マラウィ南部に入っていくと交通量は少しは多くなった。首都のリロングウェに近いサリマでは大統領一行とすれ違った。警官が大勢出て、すべての交通を止める。その中を大統領一行の乗った何台もの車が猛スピードで走り抜けていく。どの車に大統領が乗っているのかはわからなかった。

サリマでマラウィ湖を離れる。首都のリロングウェに向かっていくと交通量が一気に多くなる。ゆるやかな登り。バイクを止めると、我々は高台から雄大な風景を見下ろした。首都のリロングウェに到着するとファストフード店で昼食。ハンバーガーとフライドポテトを食べた。

第4の国、ザンビアへ。国境近くで宿泊

リロングウェから130キロ走るとザンビア国境に到着。国境で両替をすると1USドルが5クワチャ。1ザンビア・クワチャは約20円だ。

マラウィの首都リロングウェからザンビア国境への道▲マラウィの首都リロングウェからザンビア国境への道

国境近くの町、チパタで給油し、郊外の「ママルーラ・キャンプ場」に泊まった。テントを張り終えると、まずはキャンプ場内のバーでザンビア産ビールの「モシ」をキューッと飲み干した。1本10クワチャ(約200円)。

そのあとキャンプ場内のレストランで夕食。イタリア料理の「ラザニア」を食べた。ザンビアの辺境の地といってもいいようなチパタのキャンプ場で食べる「ラザニア」の味は格別。

チパタ郊外の「ママルーラ・キャンプ場」
▲チパタ郊外の「ママルーラ・キャンプ場」
「ママルーラ・キャンプ場」の「ラザニア」
▲「ママルーラ・キャンプ場」の「ラザニア」

翌朝はキャンプ場内のマンゴーの木の枝に飛びつき、食べごろのマンゴーを取って、顔中をベトベトにしながらマンゴーをたてつづけに食べた。マンゴーはぼくの大好物なのだ。

ザンビア首都への道中。キャンプ場でのできごと

首都のルサカに向かったが、その途中、カチョローラ村の国道沿いにある「カチョローラ・キャンプ場」に泊まった。

カチョローラ・キャンプ場からの眺め▲カチョローラ・キャンプ場からの眺め

ここではキャンプ場のオーナーのジョージと話した。朴訥(ぼくとつ)とした感じがすごくいい。ジョージの話で忘れられないのは「メイドinチャイナ」だ。ザンビアにはものすごい勢いで中国製品が入り込んでいる。しかし「メイドinチャイナ」は衣類でも靴でも電器でも、何でもすぐにダメになるという。

それに対して「メイドinジャパン」は丈夫で長持ちし、「フォーエバー(永遠)」だという。だがその後がいい。ジョージは「But China is good country(だけど中国はいい国だ)」という。ジョージの「But China is good country」は大うけで、その後、我々の流行語になった。

第5の国ジンバブウェで、世界最大の滝に見入る

首都のルサカからはザンビア一番の幹線道路を南下し、ジンバブウェ国境のリビングストンに向かう。

ザンビアの首都ルサカに到着▲ザンビアの首都ルサカに到着

その間は480キロ。リビングストンの人口は10万人で、ザンビアでは3番目に大きな町。リビングストンからジンバブウェ国境までは10キロほど。

街道沿いで小休止。近くの村人たちがやってくる▲街道沿いで小休止。近くの村人たちがやってくる

ザンビアでの出国手続きを終えると、ザンベジ川にかかる橋を渡ってジンバブウェに入る。いよいよ「アフリカ大陸縦断」のハイライト、世界最大のビクトリアの滝を見る時がやってきた。

ザンベジ川にかかるザンビア・ジンバブウェ国境の橋▲ザンベジ川にかかるザンビア・ジンバブウェ国境の橋

ゲートで入園料を払い、かわいらしい猿が群れる森の中を通り抜けると、目の前に巨大なビクトリアの滝が現れた。あまりのすごさにしばらくは声も出ない。

ザンビアとの国境を流れるアフリカ第4の大河、ザンベジ川が幅1,700メートルにわたって118メートルの落差で落ちていく。大滝には虹が何本もかかっている。夕立のような水しぶきを浴びて体中が濡れるのも忘れ、茫然として大自然の驚異に見入った。

大滝を目の前して「おー、これぞアフリカ!」と叫んでしまった。

世界最大のビクトリアの滝。「おー、これぞアフリカ!」▲世界最大のビクトリアの滝。「おー、これぞアフリカ!」

滝に近いキャンプ場で年越し

その夜はビクトリアの滝に近いキャンプ場で泊まったが、午前0時になると花火が打ち上げられ、町のあちこちから「ハピーニューイヤー!」の声が聞こえてくる。2013年から2014年に変わった。

【賀曽利隆 コラム】アフリカ大陸縦断(3)に続く

賀曽利隆

賀曽利隆冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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