【和歌山利宏 コラム】タイヤは走りの世界をアレンジするアイテムへと進化している – その2

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

》【前回】タイヤは走りの世界をアレンジするアイテムへと進化している

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前回のコラムで書いたように、ブリヂストンS21とダンロップα13spという新しいタイヤへの試乗を通じ、技術的に高水準化されたに留まらず、タイヤは走りの世界をアレンジするアイテムへと進化していることに気付かされました。

目的に応じたタイヤの選択さえ間違えなければ、これらはバイクライフをより豊かなものにしてくれるのです。

車体の進化に負けない、タイヤの進化

さらに私はその後ピレリの新しいタイヤ、ディアブロ・ロッソ3の試乗にスペインへと、また、メッツラーのロードテック01の試乗にドイツへと出掛けてきました。
ピレリの傘下にメッツラーが入って30年ほどとなり、この2メーカーはお互いの得意分野を生かして開発を進めています。

新型車へ試乗する度に、バイクとその技術の進化を実感してきたものですが、タイヤの試乗会においても、その進化を車体に負けず劣らず実感します。技術者が従来型を超えるものを造り出そうと努力していることは、タイヤでも同じなのです。

付け加えると、タイヤの試乗会はジャーナリストとしての私には大変に有意義なものです。ほとんどの現行モデルが試乗車として用意され、乗り比べることができますから、タイヤにもより深く触れることができます。そして、本来の目的ではないにしろ、同じタイヤを履いたそれぞれ違ったバイクの素性を知ることもできるからです。

それはともかく、今回のスペインとドイツで試乗した2つのニュータイヤもまた、走りの世界をアレンジしてくれていました。

新型タイヤが生み出す「走りの世界」

ピレリのディアブロ・ロッソ2の後継型となるロッソ3は、サーキット走行から街乗りまでをこなせるワイドレンジなタイヤです。ストレス感のないハンドリングで、接地感はソリッド。素直にタイヤの曲面、すなわちプロファイルに沿ってバンクすることと呼応して、旋回性と接地感が高まっていくのはピレリのレース用タイヤからのフィードバックであり、乗り手のスポーツ心を刺激してくれます。

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また、メッツラーのロードテック01は、Z8の後継型ですが、ストリートタイヤとして特化した独自のモデルです。溝が多いトレッドパターンは、昨今のレーシングライクなストリートタイヤとは違い、昔のタイヤのように溝の存在を感じさせるだけでなく、特に滑りやすい濡れた路面で驚異のグリップ力を発揮。また、車体をバンクさせるのと合わせて、リニアに高まるタイヤのつぶれ感が、ライダーに自信を与えてくれます。

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ロッソ3は友好的でワイドレンジながらもレーシーな世界を楽しめ、ロードテック01は今日の高性能スポーツとライダーとの距離を縮めてくれるというわけです。

新しい走りの世界を具現化する、新型タイヤの哲学

ただ、今回のピレリ/メッツラーグループの新しいタイヤには、走りのアレンジに留まらない何かを感じました。

タイヤに求められる諸要件を正攻法で高次元化させた結果として、新しい走りの世界が具現化されているかのようだったのです。その意味で好印象で、2メーカーのフィロソフィの違いも感じずにはいられませんでした。

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和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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