【賀曽利隆 コラム】東京→青森・林道走破行(下)

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

》【前回】東京→青森・林道走破行(上)

「林道走破行」後半戦!関山峠を越えて宮城へ

「東京→青森・林道走破行」の前半戦を走り終え、山形県の山寺を出発。山裾に広がる果樹園地帯を縫うようにして快走路を走り抜け、国道48号に出ると、奥羽山脈の関山峠を越えて宮城県に入った。さー、スズキの250ccバイク、グラストラッカーでの林道走破行の開始だ。

山寺周辺の快走路。道の両側には果樹園がつづく▲山寺周辺の快走路。道の両側には果樹園がつづく

【1本目】入口から”ダート”な熊沢林道。ガレ場を突破!

第1本目は熊沢林道。国土交通省の作並除雪ステーションの脇から入っていく。入口からダートなのがうれしい。最初のうちは走りやすいダートだったが、そのうちにラフな路面に変わり、峠への登りではガレ場を突破した。

林道入口から5キロほどで峠に到達。2キロほど下ると舗装路になった。熊沢林道のダート距離は6.7キロ。名刹定義如来を参拝し、門前の「定義とうふ店」で名物の「油あげ」を食べた。

熊沢林道を行く
▲熊沢林道を行く
東北の名刹定義如来の仁王門
▲東北の名刹定義如来の仁王門

定義如来から泉ヶ岳(1172m)の周辺へと舞台を移す。この一帯は林道の宝庫で、仙台圏の絶好の「林道日帰りツーリング」のエリアになっている。

【2本目】大平桑沼林道・升沢林道の連続ダート

泉ヶ岳スキー場の前を通り、大平桑沼林道のダートに突入。よく整備された走りやすい林道。2.6キロのダートを走るとT字路に出る。右はダート5.4キロの種沢林道で、ここでは直進して升沢林道に入っていく。

7.2キロのダートを走り切ると、旗坂キャンプ場の脇に出る。大平桑沼林道から升沢林道は連続ダートで、ダート距離は9.8キロ。残念ながら10キロにはわずかに届かない。というのは「カソリ基準」では、ダート10キロ以上がロングダートになるからだ。

定義如来の脇から入っていく横川林道は通行止
▲定義如来の脇から入っていく横川林道は通行止
大平桑沼林道の入口。升沢林道へと連続するダートを走る
▲大平桑沼林道の入口。升沢林道へと連続するダートを走る

【3本目】貴重な「超ロングダート」、小荒沢岳山林道へ!

旗坂キャンプ場から舗装路をわずかに下り、左に入っていくのが小荒沢岳山林道。この林道も入口からダートだ。緑濃い樹林帯の中を登り、湧水の前を通り、林道入口から5.9キロ地点で大和町と色麻町境の峠に到達。

峠道を下り、青野岳山林道との分岐を過ぎ、地元の人たちも水をくみにくる湧水の前を通り過ぎると舗装路に出る。小荒沢岳山林道のダートはうれしい20キロ超の20.3キロ。
「カソリ基準」ではダート20キロ以上の林道は超ロングダートになる
日本中を探しても、ダート20キロ以上の超ロングダートはそれほど多くはない。

超ロングダートの小荒沢岳山林道を行く▲超ロングダートの小荒沢岳山林道を行く

岩手・秋田県境の巣郷峠で宿泊

宮城県内の林道を走り終えると古川ICで東北道に入り、岩手県の北上JCTから秋田道を走り、湯田ICで高速道を降りる。国道107号で岩手・秋田県境の巣郷峠へ。峠上の巣郷温泉「静山荘」に泊まった。

飛び込み同然で行ったのにもかかわらず、夕食を用意してくれたので助かった。大浴場の湯にどっぷりつかったあと、山の幸三昧の夕食を食べた。キノコ料理も出たが、肉厚の肌色をしたトビタケが美味だった。

岩手・秋田県境の巣郷峠上の温泉宿、巣郷温泉「静山荘」
▲岩手・秋田県境の巣郷峠上の温泉宿、巣郷温泉「静山荘」
巣郷温泉「静山荘」の夕食
▲巣郷温泉「静山荘」の夕食

翌日は朝湯に入り、朝食を食べて出発。「今日も頼むぞ!」とグラストラッカーにひと声かけて走り出す。奥羽山脈の峠越え林道を走るのだ。

【4本目】2つの顔を持つ、三森山林道を往復

まずは三森山林道。巣郷峠を秋田県側に下ったところから入った。国道から2.9キロ地点の分岐を右へ。入口からダート。秋田県側の三森林道はじつに走りやすい。道幅も広い。三森山(1102m)の登山口を過ぎ、林道入口から10キロ地点で県境を越える。

秋田県側の三森林道は快適なダート走行▲秋田県側の三森林道は快適なダート走行

岩手県側に入ると林道は一変し、大荒れの状態。覆いかぶさってくる草は自分の背丈以上に高い。県境から0.5キロ地点では大崩落。そこからさきは通行不能で巣郷峠まで戻った。三森山林道のダート距離は往復で21.0キロになった。

岩手県側の三森林道は一転して通行不能…▲岩手県側の三森林道は一転して通行不能…

【5本目】岩手から萱峠林道を抜け、再び秋田へ

次の萱峠林道は岩手県側から入った。以前は大荒れの岩手県側だったが、拍子抜けするくらいに道が良くなっている。峠を越えた秋田県側は良く整備されている。11.8キロのダートを走り切り、さらに舗装林道区間を走って横手の町中に出た。

萱峠林道の岩手・秋田県境の萱峠に到達▲萱峠林道の岩手・秋田県境の萱峠に到達

【6本目】真昼岳林道へ突入。奥羽山脈の山並みへ一直線

次の真昼岳林道は今回の「東京→青森・林道走破行」のハイライト。秋田県側の旧羽州街道(県道11号)から入った。ダートに突入すると、一直線に奥羽山脈の山並みに向かっていく。

真昼岳林道で奥羽山脈に向かっていく▲真昼岳林道で奥羽山脈に向かっていく

やがて山中に入り、10.9キロのダートを走ると奥羽山脈の峠に到達。絶景峠だ。ここは真昼岳(1059m)の登山口になっている。

真昼岳林道の秋田・岩手県境の峠。ここは真昼岳の登山口▲真昼岳林道の秋田・岩手県境の峠。ここは真昼岳の登山口

岩手県側を下っていくと、東北の自然美を代表するような樹林の美しさを見る。この季節は緑濃い森だったが、紅葉の季節になると森は目の中まで染まりそうなほどの色鮮やかな赤や黄色になる。

ぼくはこの真昼岳林道が日本一の「紅葉林道」だと思っている。24.8キロの超ロングダートを走り切り、集落まで下ると、そこにはおすすめの日帰り湯、「真昼温泉」(入浴料300円)がある。

【7本目】ラストを飾る超ロングダート、道前田山林道

今回の「東京→青森・林道走破行」の最後は道前田山林道だ。岩手県側の国道282号の田山から入っていく。国道から6.3キロ地点の根石ダムでダートに突入。7.5キロのダートを走ったところで岩手・青森県境の峠に到達。峠周辺は濃い霧に覆われていた。青森県側に下り、20.4キロの超ロングダートを走り切って舗装路に出た。

東北林道157.6キロのダートを走破!

こうして今回の「東京→青森」の全林道を走破すると、意気揚々とした気分でグラストラッカーを走らせ、国道104号→国道4号で青森へ。青森駅前に到着したのは東京を出発してから4日目の8月24日の21時。

青森駅前に到着。「東京→青森」のゴールは青森駅前なのだ▲青森駅前に到着。「東京→青森」のゴールは青森駅前なのだ

「東京→青森」は1,344キロで、その間のダートは157.6キロ。走行距離の1割以上がダートなのが何ともうれしいことだった。

賀曽利隆

賀曽利隆冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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