日本自動車工業会、「自治体における二輪車駐車場事例集2016」を公開 効果的に二輪車の駐車需要に応えた事例を紹介

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一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)は、主に自治体が道路区域内に整備した二輪車駐車場に注目し、さまざまな事例を取り上げた「自治体における二輪車駐車場事例集2016」を公開した。

日本では「駐車場は道路外に整備するのが基本とされている」なか、今回の事例集では、二輪車や四輪車の違法駐車が多い道路区間や、遊休地化していた道路区域に駐車施設を設けたことで、効果的に二輪車の駐車需要に応えた事例などを紹介している。

背景

平成18年6月に違法駐車の取り締まりが強化された時期から、今年で10年が経とうとしている。二輪車ユーザーからは「バイクをとめる場所がない。駐車場を確保してほしい」といった声が上がり、平成18年11月には駐車場法の対象に自動二輪車が追加されるなど法整備がなされ、以来、地方自治体や民間駐車場事業者など関係者の取り組みによって、二輪車の駐車場は年々増加してきた。

しかし、現在でも都市部では二輪車を駐車するのに困難な区域が残っており、駐車場の拡充を望む声はなくなっておらず、二輪車駐車場は「増えてなお不足している」状態なのだ。

今回発表された事例集では、既に実施されている効果的な事例を参考に、各自治体に向けいっそうの取り組みを進めてもらうよう呼びかけている。

以下「自治体における二輪車駐車場事例集2016」より引用

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二輪車の区分と駐車関係法

道路運送車両法および道路交通法による車両区分と、駐車関係法の適用関係について整理すると次の表のようになる。

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二輪車は、いわば自転車と自動車の中間的な乗り物としての特性があり、法的位置づけが自転車と自動車との間に置かれている。駐車場法は、二輪車のうち自動二輪車に適用される。

また、全国各地の市町村は、自転車法を根拠とした自転車条例によって自転車等駐車場の整備を進めているが、近年の成り行きでは、対象車両を自動二輪車(125cc以下)まで拡大する自治体が増えており、さらには排気量制限を設けずに自動二輪車を受け入れる自転車等駐車場を整備する自治体も出てきている。

 

自治体の自動二輪車駐車対策の現況
(平成26年度・自工会調査の結果から)

一般社団法人日本自動車工業会(以下「自工会」という)では、平成26年10月に、東京都23区と同26市、および全国の政令指定都市20市(合計69団体)を対象に、「自治体の自動二輪駐車対策に関する現況調査」を行った。

平成18年の駐車場法改正以降、各自治体において自動二輪車の駐車に関して、「従前から対策を行っている」12団体(17.4%)を除いて、「法改正後に新しい動きあり」とした22団体(31.9%)と、「法改正後に新しい動きを追加」の6団体(8.7%)を合わせて、28団体(40.6%)が新しい取り組みをもった。

これに対して、「法改正後も新しい動きなし」という自治体が28団体(40.6%)あり、法改正後の対応は大きく二分している状況だ。

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法改正後の各自治体における変化と施策

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【路上駐車施設への関心】
自動二輪車の路上駐車施設の導入状況(平成26年10月時点)

調査結果によると、全自治体のうち路上駐車施設を設置(または許可)している自治体が13団体(18.8%)となっている。平成19年度に行った調査では、路上駐車施設を設置していた自治体が、港区、仙台市、広島市の3団体(4.5%)だったことから、26年度までに新たに路上駐車施設を導入した自治体が10団体ほど増えている。

このように路上駐車施設の導入事例が増えてきた一方で、「検討したことがない」という自治体は50団体(72.5%)にも及んでおり、道路法施行令の改正によって期待された効果が広まっていない状況だ。

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下の図は路上駐車施設のメリット(期待点)、デメリットについて尋ねたもの。

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路上駐車施設への関心はけっして低くない一方、整備する際のネックになっている要素として、「区市道は狭いため適した道路が少ない(国道や都道府県道の利用は想定しづらい)」42団体(60.9%)という回答が最も多く、次いで「交通安全面でのリスクが高い」28団体(40.6%)、「有人による管理がしづらいため、利用秩序に不安がある」25団体(36.2%)と続いた。

 

自動二輪車駐車対策の動向

自動二輪車が駐車場法の対象となった平成18年度末と平成26年度末の整備状況を比較するとこの8年間で、自動二輪車駐車場(専用)の箇所数は約11倍に、駐車場台数は約2倍に増加している。

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大都市部では更なる自動二輪車駐車場の確保が必要

保有台数あたりの駐車スペース台数は、自動車と比較すると、まだ少ない水準にあり、特に絶対的な量が不足している大都市部では、自動二輪車の駐車が可能なスペースの更なる確保が求められている。

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自動二輪車駐車施設の附置義務化も可能

一方、自動二輪車を地方公共団体が制定する駐車施設の附置義務条例の対象とすることも可能であり、平成26年度末時点では、全国の8都市の条例において自動二輪車駐車施設の附置義務が規定されている。

これら駐車場の確保に加え、自動二輪車利用者の目に届く効果的な広報・PR活動を行うことも、同様に重要であると考えられる。

 

二輪車駐車スペースの確保

自治体における二輪車駐車対策の停滞化が懸念されている一方、駐車場の用地確保が困難で路上駐車施設への関心が高いことを踏まえ、東京都の区(新宿・渋谷・品川)、地方都市の8市(仙台・川崎・横浜・相模原・大阪・神戸・広島・長崎)にヒアリングし、道路空間を活用して整備した二輪車駐車場の事例を紹介する。

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▼各自治体の対策詳細はこちら
》自治体の二輪車駐車場事例集2016:二輪車駐車スペースの確保

【事例1】新宿区:区が国道の占用許可をとって設置

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【事例2】渋谷区:区が都道の占用許可をとって設置

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【事例3】品川区:通行規制した区道に100台規模収容

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【事例4】仙台市:市道の行き止まりを活用

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【事例5】川崎市:ヨーロッパ型の簡易な駐車施設

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【事例6】横浜市:パーキング・メーター枠を転用(一方通行路)

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【事例7】立川市:自動車駐車場の一部を二輪車枠に転用

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【事例8】熊本市:民間による二輪車駐車場整備促進

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二輪車の保有状況

国内の二輪車保有台数は、平成26年3月末現在で原付が643万8,002台、自動二輪車が525万630台、合わせて1,168万8,632台となっている。国民の約11人に1台の割合で普及している。

排気量別に占有率をみると、原付一種が二輪車全体の55%を占め、原付二種が14%、軽二輪が17%、小型二輪が14%の割合となっている。

また、近年の二輪車保有台数の推移をみると、原付は年々減少しているが、自動二輪車は年々漸増する傾向にある。このことから、自動二輪車の駐車需要は拡大する傾向にあるといえる。

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駐車関係法令の動き

放置自転車が社会問題化したのは昭和50年代からで、国は昭和55年に、『自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律』を制定し、この法律をもとに市町村が自転車の放置対策や自転車駐車場の整備に取り組んだ。

しかし法律の及ぼす効力が十分でなかったことと、昭和50年代から急速に普及が進んでいた原付の違法駐車が問題視されるようになり、国は自転車法を改正してその対象に原付を含め、平成5年に『自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律』を施行した。

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駐車場法の改正に続き、平成18年11月に道路法施行令が改正され、道路の占用物件に、原付・自動二輪車を駐車させるための器具が認められた(19年1月4日施行)。

これにより、道路管理者以外の者も、道路管理者の許可を得ることによって、道路上に二輪車駐車場を設置できることとなった。道路法では、道路管理者が道路附属物として路上駐車施設を設置することができるが、わが国では「駐車場は道路外への設置が基本」という考えによって、駐車場を道路上に整備することには消極的であった。

しかし、同施行令が改正されたことで、国道や都道府県道に市区町村が二輪車駐車場を設置できる道が開けたばかりでなく、民間企業などさまざまな事業主体が、道路占用許可を受けて道路上に二輪車駐車場を設置・運営することができるようになった。

実際のケースでは、神戸市の商店会が市道の占用許可を得て、二輪車の路上駐車施設を設置・運営して注目を集めている。こうした事例はまだまだ多いとはいえないが、政令の改正をきっかけに、自治体による路上二輪車駐車施設は増えつつある。

 

今後の展望と各自治体に求められる対応

駐車場法に自動二輪車が含まれたことで、自治体は、地域内の駐車場整備地区について、自動二輪車についても念頭に置く必要が生じた。都市計画の一環として総合的かつ計画的な駐車場整備を行う際には、四輪車のみならず自動二輪車の駐車需要も踏まえた整備計画を立てる責務がある。

さらに、附置義務駐車場の対象に自動二輪車を含めることについても、法的根拠をもって進めることが可能になった。一方、法律に規定されたことで、自動二輪車の駐車場は、施設の構造や設備など技術的な基準に適合したものでなければならないものとなった。また、一定の規模を超えて料金を徴収する施設については、都道府県知事に届出が必要である。

こうした法律の効果によって、自動二輪車の駐車場は近年徐々に増加する傾向にある。自治体は改正駐車場法を根拠に、必要に応じて駐車関連条例を整備し、地域の実情に応じた自動二輪車対策を積極的に展開していくことが求められている。

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情報提供元 [ 一般社団法人日本自動車工業会 ]

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