【賀曽利隆 コラム】北海道一周2434キロ(3)

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

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北海道遺産:稚内港の北防波堤ドームへ

稚内駅前を出発すると稚内港の北防波堤ドームへ。この総延長427メートルの半アーチ式ドームは北海道遺産で、古代ローマ風の美しい建造物。稚内と樺太(サハリン)の大泊(コルサコフ)を結んだ旧稚泊(ちはく)航路の岸壁を守る施設として造られ、強風と荒波を防ぐ防波堤の役目を果たしてきた。

それにしてもなつかしい。1991年には北防波堤ドーム前の岸壁からロシア船にバイクともども乗り込み、サハリンのホルムスク(旧真岡)に渡った。ロシア船が稚内港を離れて行く時のシーンが目に浮かんでくるのだった。

稚内港の北防波堤ドーム▲稚内港の北防波堤ドーム

ノシャップ岬の強風…稚内温泉へ飛び込む!

稚内港からは海沿いの道でノシャップ岬へ。岬の突端には赤白2色の稚内灯台が立っている。高さ42mのこの灯台は北海道一のノッポ灯台。強風は一段とすさまじいものになり、ゴーゴー音をたてて吹き荒れている。

逃げ込むようにして稚内温泉「童夢」(入浴料600円)に飛び込んだ。湯から上がると「豚丼」(700円)を食べたが、強風は相変わらず吹き荒れている。意を決して日本海沿いの道を南下。強風と戦いながらスズキのV−ストローム650XTを走らせた。

ノシャップ岬の稚内灯台
▲ノシャップ岬の稚内灯台
猛烈な風が吹き荒れる抜海漁港
▲猛烈な風が吹き荒れる抜海(ばっかい)漁港

嵐の中、北海道第2の大河「天塩川」河口へ

猛烈な風と戦いながら道道106号を走りつづけ、北海道第2の大河、天塩川を渡って天塩の町に入っていく。強風にあおられて波立つ天塩川の河口を見たあと、天塩温泉「夕映」(入浴料500円)の湯に入った。塩分の濃い赤茶けた湯。長湯して湯から上がると、奇跡が起きた。嵐はおさまり、日が差してきたのだ。

北海道第2の大河、天塩川の河口▲北海道第2の大河、天塩川の河口

思い出いっぱい。恐怖の国道232号

天塩からは恐怖の国道232号を行く。日本海オロロンラインで知られるこの国道232号では、いままでに4回もスピード違反で捕まっているのだ。とにかく先頭を走らないようにし、少し速めの車の後について走った。天気はすっかり回復し、青空が広がり、風も弱まった。

金毘羅岬に宿泊。夕日が日本海を赤々と染める

遠別を通り、初山別村に入ると、金毘羅岬にある初山別温泉「しょさんべつホテル岬の湯」に泊まった。遊歩道で海岸に降りたところに金毘羅さんが祀られている。その前の海中には赤い鳥居が立っている。夕日が日本海を赤々と染めて鳥居の間に落ちていく。感動的な眺め。日が落ちると、日本海を渡る風は急速に冷たくなった。

金比羅岬に落ちる夕日▲金比羅岬に落ちる夕日

ホテルに戻ると「岬の湯」に入り、レストランで夕食。「タコザンギ」を肴にして生ビールを飲み干した。タコザンギというのはタコの揚げ物。そのあと初山別名物の真フグを食べた。真フグの「照り焼き丼」だ。

真フグの「照り焼き丼」▲真フグの「照り焼き丼」

留萌で黄金岬に立ち、国道231号を南下

翌日は4時45分に出発。羽幌(はぼろ)、苫前(とままえ)、小平と通って留萌(るもい)に着いた時は、心底、ホッとした。スピード違反で捕まることもなく、無事に国道232号を走り切ったからだ。

留萌では黄金岬に立った。朝日を浴びた黄金岬はその名の通り、金色に光っている。留萌からは日本海沿いの国道231号を南下し、増毛(ましけ)へ。JR留萌線の終着、増毛駅前には豪壮な木造三階建ての旅館が建ち、ニシン漁で栄えたかつての繁栄ぶりをしのばせている。

国道231号を行く▲国道231号を行く

連続するトンネルを抜け、雄冬岬「白銀の滝」へ

増毛から雄冬岬に向かう。雄冬海岸に入るとカムイエ崎、マッカ崎、日方崎、観音崎、赤岩崎と岬がつづき、赤茶けた岩山がそのままストンと海に落ちている。国道231号は連続するトンネルで、これらの岬を通り抜けていく。

雄冬岬の手前に雄冬の小集落がある。最近までニシン番屋が残っていたほどで、かつては増毛と同じようにニシン漁で栄えた。雄冬は国道231号が開通するまではまさに「陸の孤島」だった。1日1便の増毛港に通う定期船が唯一の交通機関になっていた。

1000メートル級の山々が連なる増毛山地はそのまま海に落ち込んでいるので、大きな障害になっていた。雄冬漁港の目の前に立ちふさがるようにして、日本海に突き出た岬が雄冬岬。断崖から流れ落ちる白銀の滝の前には「雄冬岬」の碑。

雄冬岬の白銀の滝▲雄冬岬の白銀の滝

国道を”ハシゴ”する岬めぐり。積丹半島も一周!

雄冬岬をトンネルで抜け、浜益の海岸に出ると、風景は一変する。断崖の連続する海岸線からスーッと延びる長い砂浜に変わる。国道231号→国道337号→国道5号で小樽へ。鰊御殿(にしんごてん)の建つ高島岬に立ったあと、国道5号で余市へ。余市から積丹半島に入っていく。国道229号で半島を一周。積丹岬、神威岬の2岬をめぐり、泊村の盃温泉「潮香荘」に泊まった。

小樽の鰊御殿
▲小樽の鰊御殿

積丹半島の神威岬
▲積丹半島の神威岬

翌日も岬めぐり。北海道本土最西端「尾花岬」へ

翌朝は「潮香荘」の朝湯に入り、朝食を食べ、8時出発。国道229号で雷電岬、弁慶岬、茂津多岬の3岬をめぐり、瀬棚から北檜山へ。北檜山からは道道740号で北海道本土最西端の尾花岬に向かった。この道道740号は長らく分断されていたが、2013年に岬を貫く太田トンネル(全長3360m)が完成し、通れるようになった。

北海道本土最西端の尾花岬▲北海道本土最西端の尾花岬

城下町の松前で出会った満開の桜

太田トンネルを走り抜け、国道229号に合流すると熊石を通り、「江差追分」の江差へ。江差から海沿いのルートは国道228号になる。北海道唯一の城下町、松前では満開の桜を見ることができた。

城下町松前では桜が満開!▲城下町松前では桜が満開!

32箇所目となる岬:最南端の白神岬へ

松前を過ぎると北海道最南端の白神岬。対岸の津軽半島がよく見える。ここが「北海道一周」最後の岬で、今回は全部で32岬を巡った。

北海道最南端の白神岬▲北海道最南端の白神岬

函館の夜景を眺めながら北海道一周の旅を終える。
全行程2434キロ走破!

白神岬を境にして、日本海から津軽海峡へと海が変わる。福島から福島峠を越え、知内、木古内と通り、函館港のフェリー埠頭に到着。20時15分発青森港行きの津軽海峡フェリー「ブルードルフィン」に相棒のV−ストローム650XTともども乗り込んだ。

函館港からフェリーで青森へ▲函館港からフェリーで青森へ

これにて全行程2434キロの「北海道一周」は終了。甲板に上ると、函館の夜景に向かって「またな~、北海道よ!」と叫んでやった。(了)

賀曽利隆

賀曽利隆冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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