【和歌山利宏 コラム】技術はらせん階段を上るように進歩していく

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

昨年の究極系はYZF-R1

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今年もスーパースポーツの進歩に感慨を深くする事態が続いています。
昨年はヤマハのYZF-R1がその究極形を提示。モトGPマシンレプリカと思えるほどにハンドリングは高次元化され、電子制御は制御を感じさせない自然さで、6次元センサーによる制御が状況に応じて出力を抑えてくれます。

走りは攻めてナンボ。ライダーが攻めることにマシンが応えてくれる持ち味は、レーシングマシンそのもので、中途半端な心構えでは接しないほうがいいと思わせるほどです。R1がレースの勢力図を一変させるだろうとも思いました。

そのとき私は、ヤマハのエンジニアにR1がこの先、進化すべき方向について聞かれ、「この高次元化された世界を下界に戻してやることがテーマ」と答えたものです。

YZF-R1から1年。ZX-10Rが登場

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そして1年が経ち、今回、カワサキからZX-10Rが登場しました。カワサキは新型10R開発の最終段階において、R1と比較テストしているはずですから、サーキット性能においてライバルに負けないポテンシャルを確認していることに間違いはありません。

ですから、10Rは2011年にフルチェンジされた先代型において、すでにクラス最高水準の上質さを実現していたにも関わらず、その扱いやすさを犠牲にし、新型が先鋭化されたものになっているのではないかとも予想されました。

ZX-10R – ベーシックな部分で底上げされた技術

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ところが、乗った10Rは、先代型にも増してフレンドリーではありませんか。ライポジは親しみやすく、エンジンはさらに洗練され、ハンドリングは低速域でも街乗りバイクであるかのような素直さです。

サーキットで徐々にペースを上げていっても、全てが最初に受けた乗りやすさの印象の延長線上にあります。確信が乱されることなく、ハイペースに持ち込むことができます。レスポンス、トルクカーブ、ブレーキなどの全てに渡り、速いと感じさせる部分が排除されているから走りに集中できます。

まさに、「サーキットで速いバイクはイージー」というプロジェクトリーダー松田義基さんの主張どおりです。

究極形が登場すると、次にはベーシックな部分で底上げされ、高次元化されていく。技術はらせん階段を上るように進歩していく現実を、またもや見せ付けられたのです。

【関連ニュース】
◆WSBK(ワールドスーパーバイク)の初戦を制した新型「NinjaZX-10R」 動画特集
和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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