【和歌山利宏 コラム】アフリカツインはアドベンチャー系の新ベンチマークだ

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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期待を上回るセンセーショナルなモデル

昨年はスーパースポーツ系において画期的なモデルが多く登場し、このコラムでも紹介してきましたが、今年はジャンルが一変。新登場のCRF1000L アフリカツイン(Africa Twin)は期待を上回り、もし、例のごとく年末に当年の最もセンセーショナルなモデルを選出する機会が来たら、現時点では第一候補に挙がりそうな気分です。

バイクは、何にでも使えて汎用性が高かった昔に対し、近年はそれぞれに単能化され、設定したシチュエーションで最高でも、それ以外の使い方を許さなくなっています。

そこで、昨今のアドベンチャー系は、昔のバイクが持っていた諸機能を高次元化させた形態とも言え、さらにそれが電子制御の威力で高水準なものになっています。ワインディング、オフロード、街中など多様な状況で楽しめて、条件を問わないことが人気の大きな理由でしょう。

 

“原点バイク”の視点から考える

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一方で私は常々、バイクとは足代わりに使えて気が向いたらどこでも遊べることが、原点だと考えています。

となると、ビッグアドベンチャーはメガスポーツ化していて、原点バイクとしては大き過ぎます。確かに欧州では、R1200GSに跨って歩くように車体を後退させている姿を見かけることもあり、これができる大男なら足代わりにもなるでしょう。

日本人にとっても気軽に使えるサイズ感と性能

でも、一般的な日本人にはちょっと無理です。「オレにも乗れる。凄いだろ」という気持ちがあるうちはいいですが、それだけでは将来、人気は先細りします。少なくとも、身長161cmの私には気軽に乗れるものではありません。

その点、新アフリカツインは、ジャストサイズにパッケージングされています。シートを低位置側にセットすれば、私でも跨ったままサイドスタンドを出し入れできて、低重心感でマスも集中しているので、片足立ちでも安定。これなら使えます。

それでいて、前輪21インチでサスストロークも大きく、オフロード性能は群を抜き、ビッグオフローダーと言っていいほどです。しかも、ワインディングを楽しめて高速道路も快適、オンロードツアラーとしても優れています。

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▲発表会で掲げられた開発コンセプト。オフロード走破性は当然として、日常から広大な大地まで幅広く使えることも重視された。

 

巨大化するバイクの進化に一石を投じたアフリカツイン

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さらに、足着き性とともに嬉しいのがハンドル切れ角です。片側43度というクラス最大値が与えられているのです。

競合車のそれについて付け加えると、R1200GSが42度で、ムルティストラーダが先代より2度大きい40度です。GSの人気の秘密には、切れ角を生かし、巨体をダイナミックに扱えることもあるのではないでしょうか。その意味で、切れ角がそれら以下のモデルは、アドベンチャーの資質に欠けているとさえ思います。

あえて言えば、1200ccクラスの競合車よりも動力性能に劣ることになりますが、パッケージングとしての素晴らしさと、現実問題に目を向ければ取るに足らないことです。

新アフリカツインは、巨大化するバイクの進化に一石を投じ、アドベンチャー系の新しいベンチマークになり得る存在だったというわけです。

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和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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