2015年モーターサイクルに新たな潮流あり

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

家一軒の価値とは

2015年はモーターサイクルの潮目が変わった年となったようだ。高性能マシンは最先端の解析技術と電子制御の恩恵によりさらに高性能化し、「YZF-R1」や「S1000RR」、「1299パニガーレ」などに代表されるように、そのままで最高峰レースを戦えるほどの戦闘力を身に付けるに至った。その付加価値と呼応するように価格も上昇し、各メーカーの看板となるスーパースポーツはもはや200万円~300万円超のタグが付き、さらにはスーパーチャージャー搭載の怪物マシン「H2R/H2」や、公道を走れるMotoGPマシン「RC213-VS」など、今までにない新しい価値観を持ったウルトラスポーツが続々登場。世界チャンピオンが駆るマシンそのものを所有できるという価値や、その性能の凄さもさることながら、家一軒を買えるほどの価格にも驚きを隠せない自分がいる。ちょっとバイクが遠ざかってしまったような、そんな印象を持っているのは私だけではなかろう。

心をつかんだポスト・ヘリテージ

▼ドゥカティ スクランブラー

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一方で、ドゥカティらしからぬ緩キャラで登場した「スクランブラ―」に代表される“ポスト・ヘリテージ”が当たり年となった。直訳すれば、「脱・伝統」とでも言うべきか。過去にあったモデルの伝統的なスタイルを現代的に解釈する考え方・手法であり、単なる懐古主義ではない自由で斬新なデザインで表現されているのが特徴である。必要とあれば、ABSやトラコン、パワーモードなど今の技術を惜しみなく投入している点で、旧来のネオクラシックやビンテージとは異なる。

▼Triumph Bonnevilleシリーズ

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来春に発売を控えたニュー「ボンネビル」シリーズをはじめ、メーカーズカスタムの走りとなった「R-nine T」、スポーツヘリテージを冠した「XJR1300C」などもその流れに組すると思う。これらの一群は、行きつくところまで行ってしまった最先端スポーツへの反動として出てきたものと考えてもいいだろう。前述のウルトラスポーツらがメーカー発想で作られた技術力の象徴とするならば、後述のポスト・ヘリテージは多くのユーザーが心で求めたカタチではないだろうか。

多様性の時代

良い悪いを論じるつもりはない。かつてないスピードでグローバル化や情報化が進んでいく現代において、価値観は大きく多様化し、人の数だけスタイルがあると言っても過言ではないはず。これは旅行やファッションでも同じだ。モーターサイクルもようやく既成の殻から脱皮して、より自由かつ大胆な発想で作られる時代になってきたようで、その意味では嬉しく感じる。かつてはスポーツ、ネイキッド、アメリカン、オフ車、ぐらいしかカテゴリーが無かったことを振り返ってみれば、バイクも実に多種多様になったものだ。

▼BMW初の310cc単気筒スポーツモデル G310R

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加えて先の東京モーターショーやEICMA・ミラノショーでは、250cc~350ccクラスの本格的スモールスポーツに流行の兆しが見え始めたし、日本では原付二種に当たる125ccクラスにも実用とファッションを兼ね備えたスタイリッシュなモデルが出てきている。

地球規模の大絶滅から生物が生き残り、進化できたのは多様性のおかげである。そう考えると、モーターサイクルにおける今の状況は好ましいのかもしれない。

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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