ライディングを「言葉」で伝えるのは本当に難しい

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

151130_24

言葉のニュアンスだけでは難しい

先日、サーキットでスクールを開催したときのこと。サーキットを安全に速く走るためのシンプルなコツとして、「直線でスロットルを全開にすること」と皆さんに伝えたところ、ある参加者から「こんなところで全開にしたらコーナー手前で減速が間に合わず危ないのでは」というご指摘がありました。

そこはショートコースだったので、本格的なサーキットと比べるとたしかに直線が短く、止まれない感じがしたのでしょう。一理あります。

ただ、問題はスロットルを全開にしている「時間」です。後からよく話を聞いて分かったのですが、彼はコーナー直前まで怖いのを我慢して全開にしなくてはいけない、と思い込んでいたとのこと。私が言いたかったのは、ダラダラと走るのではなく「直線を見つけたら短い時間でいいので、コツコツとスロットルを開ける」走り方をしよう、という意味でした。もちろん、これはサーキットでの話ではありますが、コーナリングやブレーキングで頑張るより、ずっと安全で確実にタイムを稼げるのはストレートだと言いたかったわけです。

このように丁寧に話を積み上げていけば、お互いの理解が縮まるのですが、言葉というのは難しいものですね。つくづくそう思いました。

ことライディング用語に関しては奥が深いと思います。たとえばブレーキ操作。ブレーキ(レバー)を「握る」「引く」「かける」「当てる」「引きずる」「舐める」・・・・・・。ぽっと浮かんだだけでも、いろいろ出てきます。バイクに乗ったことがない人なら何のことか分からないかも。ご存じのようにバイクの操作はとてもデリケートなもので、ライダーは皆、ミリ単位で微妙な入力加減をコントロールしています。これを言葉のニュアンスで伝えるのは大変です。だから、言葉だけでなく身振り手振り、絵にかいたり実演して見せたりして、なんとか伝えようと必死にやるわけです。

真意を伝える必要性

それでも、誤解は生じます。たとえば、「コーナー手前でフルブレーキングして一気に倒し込む!」などと説明を受けたら、それだけで気負いすぎて転倒してしまいそうです。本来は「フルブレーキングでも最初はジワッとかけてフロントフォークを沈めて、タイヤが路面に押し付けられたら徐々に入力を強く。倒し込みは一気にではなく一回でスムーズに」と言いたいわけです。相手に誤解を与えないようにするためには、言葉を選んで具体的かつイメージしやすい表現を探す必要がありますね。

バイクの場合、ちょっとした誤解が事故に発展する可能性もあります。皆さんも善意で誰かにアドバイスしてあげるときには、その真意がちゃんと正しく伝わっているか、よくよく確認しながら会話を進めていただければと思います。

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

国産・外車を問わずミニモトからビッグバイクまで、どんなバイクでも乗りこなすモータージャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。
16歳から乗り継いだバイク30台、テストライド経験300台以上。装備や用品、カスタムパーツのテストも数多くこなしてきた。
MFJ公認インストラクター。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。

この著者の最新の記事

関連記事

編集部おすすめ

  1. エッジの効いたラインとスパイダーメッシュ柄 アライは、機能に徹したスタンダードフルフェイス…
  2. サーキット直系のクオリティーをストリートで! アクラポビッチは、ニンジャ1000(Z100…
  3. 欲しいバイクがきっと見つかる!「ウェビックバイク選び」のスタッフが試乗して「普通のライダー目線」のレ…
  4. 【 Webikeニュース編集部 】 初代GSX-Rが発売されてから33年目、6代目のGSX…
ページ上部へ戻る