日本自動車工業会、「防災・災害対策で活動するバイク隊〈事例集〉」を公開

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日本自動車工業会は、「防災・災害対策で活動するバイク隊<事例集>」を2015年11月26日に掲載した。
「安全安心な社会づくりに二輪車を活用する」と題された事例集では、災害時に発揮されるバイク特性や、重要性、各部門ごとの役割・地域での活動の内容などを紹介している。

>>「防災・災害対策で活動するバイク隊<事例集>」PDF

防災・災害対策で活動するバイク隊〈事例集〉「安全安心な社会づくりに二輪車を活用する」

地震、津波、暴風雨、土砂崩れ、火山噴火など、近年の日本列島はさまざまな自然の猛威にさらされています。とくに南海トラフ地震、首都直下地震などいつ発生してもおかしくない大地震が懸念され、国や地域のいっそうの防災対策が求められています。“安全安心な社会”を求める国民の思いはますます切実になっています。そうした状況を背景に、警察、消防、国土交通省、地方自治体は、大規模な災害時における危機管理施策を見直し、即応体制や支援体制の強化を図っています。とくに初期の被災状況の調査に二輪車を活用することで、効率的な情報収集と伝達を可能にして、成果を上げるケースも出てきています。

このレポートは、行政機関・団体などにおいて、災害時活動を任務として編成されたバイク隊に焦点をあて、組織の概要と活動実績などについて紹介したものです。二輪車は、軽量・コンパクトで燃費がよく、少ない燃料で長距離の移動が可能です。また、渋滞に巻き込まれず、狭い場所で小回りが利き、段差を乗り越える走破性にも優れます。こうした特性によって、被災地におけるバイク隊の活動は、迅速でかつ機動力があり、持続可能なものとなっています。より安全安心な社会の実現のために、多くの組織で二輪車が利用され、防災活動や災害対策にその有用性がいっそう発揮されるよう望みます。

災害時に発揮される 3 つのバイク特性

1.迅速性:渋滞による時間ロスを回避できる
2.機動性:四輪が通行不能な場所も走破する
3.省エネ:燃費に優れ持続的な活動を可能にする

警察:災害時にバイクを活用し情報収集

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警察の「広域緊急援助隊」は、阪神・淡路大震災を教訓に1995年6月に全国編成され、その組織内にはオフロードバイクを活用する部隊が配置されている。各都道府県警察の「広域緊急援助隊」は、大規模災害時に被災地でバイクを活用し情報収集を行う。現在、広域緊急援助隊の活動に運用する目的で、警備部隊に約300台、交通部隊に約170台のオフロードバイクが配備されている。

消防:緊急現場に先着して対処する

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全国の消防本部のなかには「消防活動用バイク」(消防バイク)を導入し、火災や自然災害などの緊急事態に、いち早く対処するケースがある。各地の消防本部では、そのメリットを活かし、「情報収集」「広報・避難誘導」「消火活動」「交通事故救助」「捜索」「警戒」「他都市からの応援隊の先導」など、さまざまな緊急任務に関して、バイク隊を効果的に運用している。

消防団:地域の絆を強め、安全安心を高める

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“自分たちの町は自分たちで守る”そうした決意で結ばれる消防団。バイク隊の存在は、非常時はもちろん平時にも大いに役立っている。全国には2,200を超える消防団が組織されており、そのなかにはごく一部だが、消防活動用バイクを保有し、バイク隊を組織している団もある。バイク隊員として登録されている団員はじつに176人にも上る。発足は、1994年に市内で油槽所の大火災が発生した際、交通がマヒしたため、何十人もの団員が自分の所有するバイクで現場に駆けつけたことがヒントになった。

国土交通省:一刻も早いインフラの復旧へ

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道路や橋など構造物の被災状況をいかに早く把握するか、国土交通省・バイク調査隊が収集する情報はインフラの早期復旧を促す。2008年以降、国土交通省は「緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)」を組織して大規模災害などの非常時に備えている。より大規模な災害になれば、遠方地域への応援にもバイクを持ち込む考えで、被災地での状況把握に活用することとしている。

静岡市市職員によるバイク隊・SCOUT

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最先端の自治体リスクマネージメントに取り組む静岡市。市民の安全安心を確保するため、オフロードバイク隊が奔走する。東海地震に備えて1996年に発足した静岡市職員で構成されるオフロードバイク隊。「Shizuoka CityOff-road Utility Team」を略し「SCOUT(スカウト)」
と呼ばれる(SCOUTには、「偵察」「斥候」の意味がある)。現在、隊員は34人。オフロードバイク34台、トライアルバイク6台、支援車(積載4トン)1台を保有する。

横須賀市:市民の水を守るブルトラ隊

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災害発生時に漏水などの異常を迅速に調査し、最も重要なライフラインである水道の安全を確保する。神奈川県横須賀市上下水道局の「災害二輪調査隊」は1987年に結成されており、自治体の危機管理に携わるバイク隊としては先駆けの組織。青いトライアルバイクを使用しており、「ブルートライアル隊」(略称=ブルトラ隊)と呼ばれ、市民のライフラインである上下水道が正常に機能するよう目を光らせている。現在、隊員は27人で、原付を8台、トライアルバイクなど軽二輪を16台保有。震度4以上の地震が発生すると警戒態勢に入り、配水池や水道管、下水道施設に異常が起きていないか、市内をバイクでくまなく巡視して確認することとなっている。

四街道市:原付を活用した災害時活動

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バイク通勤の職員の活躍で、災害時の二輪の有用性を痛感。運転が容易で小回りの利く原付を活用し、バイク隊を結成。東日本大震災が発生した際、千葉県四街道市は深刻な交通渋滞に見舞われ、四輪車での情報収集が困難になった。このため、バイク通勤の職員が協力して調査に当たり、市内の状況が迅速かつ的確に把握できた。同市ではこの経験をもとに、災害時の初期情報の収集と伝達を任務とする「防災バイク隊」を市役所内に編成。現在、隊長1人、副隊長1人、隊員8人の計10人の職員で組織が構成され、原付10台を保有している。幸いなことにこれまで出動実績はないが、市が主催する年1回の防災訓練で演習を行い、安全運転訓練を適宜実施するなど、緊急時に備えている。

東京メトロ:首都交通の動脈を守る

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首都直下地震などを想定して、災害時活動用のオフロードバイクを導入。二輪車の機動力を活かして、列車乗客の安全確保をいっそう確実に行う。東京メトロは、震災や火災、風水害、鉄道テロなど、さまざまな緊急事態への対応を進めており、2013年1月に災害時活動用のバイクを初めて導入した。災害が発生した場合、列車や鉄道施設の被害状況を把握し、本社から近隣駅へ応援要員を派遣する際など、通行できる経路の確認にもバイクを活用する。このため、本社安全・技術部に4台(軽二輪)と、車両部4拠点に計10台(軽二輪)を配置。バイク隊員には社員30人が登録されている。災害時には乗客の安全確保が第一で、一刻も早い運転再開が求められるため、迅速かつ正確な情報収集に当たる。平時には、大規模地震を想定して悪路等の走行訓練を実施。警察や消防とも連携して対応力の強化を図っている。

有識者に聞く災害時に活用する“バイク情報ネットワーク”

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■日本大学理工学部・関根太郎准教授
東日本大震災レベルの災害が発生すると、道路の損壊と深刻な交通渋滞が想定されますが、その状況のなかで、機動力のあるバイクは最も有用な移動手段として期待できるでしょう。保有状況をみても、警察、消防、地方公共団体の公用車、郵政、電気・ガス事業など、全国でかなりの数のバイクが使用されており、それらを活用した災害時の情報ネットワークには高い効果が望めます。

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情報提供元 [ 一般財団法人日本自動車工業会 ]

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