親愛なるロボットくん、君の本当の目的はなんですか?

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

「親愛なるロッシへ。私は、あなたを超えるために生まれてきた」という襲撃的なフレーズで始まるプロモーションビデオを見た方も多いと思います。ジャーナリストの和歌山さんもコラムでふれていましたが、私も真相を探るべく会場に足を運んでみました。

現在、東京ビッグサイトで開催中の「第44回東京モーターショー2015」のヤマハブースに忽然と現れたロボットライダーこと「MOTOBOT Ver.1」。基盤がむき出しの角張ったデザインからは、それがR1を操縦できるほどの高性能を備えているとはとても思えません。でも、PVの中で「彼」はR1をフル加速させ、車体をリーンさせてスムーズに曲がっていきます。何かトリックがあるに違いないと思い、たまたまブースにいらした開発担当者・N氏に話をうかがってみました。

まず疑問に思ったこと、本当に「彼」が操縦しているのか?

N氏:「完全に自立したロボットで、ノーマル車両との接点はシート部分に留めてある2本のボルトだけです。スロットルやブレーキ、シフトなどの操作も人間と同じ要領で行っています」

姿勢制御はどうやっているか。

N氏:「ハンドルを押し引きする操舵力によってバランスを保持しています。今のところジャイロモーターなどは使っていません」

つまり重心移動ではなくハンドル操作でバランスをとって走っているのだ。曲がるキッカケでは逆操舵を与え、バンクが落ち着くとセルフステアに移行するといった高度な技も使えるそうだ。腕力でねじ伏せているのはいただけないが、なかなかやるじゃないか(笑)。

なぜ「彼」を作ったのか。

N氏:「ロボットは恐怖を感じることがないので、テストライダーが到達できない本当の限界まで攻め込むことができます。そこで得られたデータを数値化し、解析することで人が乗るバイクの安全性をさらに向上させるのが目的です」

やはりそうだったか!さすがヤマハ、ロボットを通じて人間に役立つ研究をしているのか。でも、ロッシに勝つなんて絶対ムリですよね(汗)。

N氏:「まだ始まったばかりですから、分かりませんよ。でも、それがひとつの目標でもあることも事実です」

なぜ自動運転バイクにしなかったのですか。

N氏:「ロボット単体として自立運転ができれば、将来はバイク以外の乗り物でも応用することができます。汎用化できるということです」

つまり、ロボットが人に代わってテストライダーやドライバーを務める日がくるかもしれないということか。将来的にはバイクから「彼」が降りてきて、「よう、お疲れさん!」なんて言ってくる日がくるのかも、ですよね。

N氏:「でも、それは少々気味が悪いですよね(笑)」

ヤマハではアメリカを拠点に、今までにないモノや技術を開発する研究をしているとのことです。そこから生まれた「MOTOBOT Ver.1」ですが、研究がスタートしたのはたった9ヶ月前だとか。そう考えると、ロッシもうかうかとはしていられないかも、ですね。

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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