トライアンフ新型ボンネビルシリーズ プレス発表会inロンドン

ケニー佐川:Webikeニュース編集長

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水冷1200cc、より正統的スタイルと現代的走りでリボーン

10月28日、英国・ロンドンでトライアンフ新型ボンネビルシリーズのプレス向け発表会が行われた。現地で取材した最新情報をお伝えしよう。

その日、ロンドンは熱狂に満ちていた

ロンドンのモーターサイクル情報発信の中心地、「BIKE SHED MOTORCYCLE CLUB」で開催された、トライアンフとしては7年ぶりのワールドプレミアとなるニューボンネビル・プレスローンチ。各国メディアに業界関係者、そしてパーティドレスに身を包み続々と集まってくるセレブリティたち。通常の新車発表会とは違った絢爛たる雰囲気に圧倒される。このモデルへの期待の高さが窺い知れるというものだ。英国出身の元WSB世界王者、カール・フォガティのバーンナウトで白煙が立ち込める中、ブリティッシュロックのサウンドに乗せて会場入りしたニューボンネビルシリーズ。バイクシェッドには割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
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栄光の名に課せられた「伝説の再生」

“Bonneville”の名前にはそれだけの重みがある。かつて世界最速記録を達成した偉業にちなんだネーミングを持つ初代「T120ボンネビル」が登場したのは1959年のこと。当時の最先端スーパースポーツモデルとして世界中のストリート、レーストラックを席巻してきた歴史がある。

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その栄光の名を受け継ぐ現行ボンネビルシリーズが登場したのは2001年。空冷並列2気筒865ccエンジンを搭載するトラディショナルなモデルとして生まれたが、デビューから早15年が経過したこともあり、一部のユーザーからはより現代的な走りのパフォーマンスを求める声も出ていた。その問いに対する回答が新型ボンネビルである。開発コンセプトは“伝説の再生”。伝統と個性を重視しながらも現代的なパフォーマンスを与えることが目標とされた。

まず取り組んだのはエンジンを新たに作り直すことだった。ひとつめのポイントはエンジンの水冷化。これは排気量アップにともなう冷却効率の向上が主な目的だ。ただし、メリデン・トライアンフ(かつて工場があった場所にちなんだ呼称)の時代から半世紀以上続いてきた空冷エンジンのイメージを極力崩さないよう造形にもこだわり、シリンダーにはあえてフィンを刻み、ラジエターもフレームに沿うような縦長のデザインとなっている。また、動弁系にはOHCを採用しているが、これはヘッドまわりのコンパクト化を優先した結果。エンジン開発には最新技術が投入され、従来型のDOHCヘッドに対して性能的にもアドバンテージを得ている。
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エンジンは3系統、そして電子制御化

新型ボンネビルシリーズには3系統5モデルがラインナップされるが、それぞれが持つキャラクターに合わせて仕様の異なるエンジンが用意されている。従来シリーズはすべて865ccで統一されていたが、今回はエントリーモデル的な位置づけの「ストリートツイン」が900cc、最も伝統的スタイルを継承した「ボンネビルT120」がハイトルク型の1200cc、そしてカフェレーサースタイルの「スラクストン」がハイパワー型の1200ccとなっている。ちなみに爆発間隔(クランク角)に関しては従来型の360度方式に代わり、より鼓動感を重視した270度方式に統一されている点も見逃せない。

もうひとつのポイントは電子制御化である。スロットルワイヤーを介在しないライド・バイ・ワイヤー方式となり、1200ccに関しては2段階切り換え式のライディングモードを採用(スラクストンは3段階)。さらにトラクションコントロールとABS、スリッパー&アシストクラッチが全モデル標準装備となった。最近のスーパースポーツモデルでは当たり前となっている電子デバイスではあるが、これをネオクラシックセグメントのボンネビルに搭載したことが注目に値する。ヘリテージモデルは雰囲気を楽しむもの、というこれまでの常識を覆す最新装備でアップデートされているのだ。こうした大胆な方向性の転換にも開発陣の新型ボンネビルへの意気込みが表れている。見た目には派手なアピールはないかもしれないが、その中身は従来型とは異なるモデルといっていいだろう。
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明らかにパワフルで鼓動感もアップ

今回は残念ながら試乗はできなかったが、実車に跨りエンジンをかけてみることはできた。T120とスラクストンに関しては排気量アップと270度クランクの恩恵により、排気音は現行モデルに比べてよりツインらしい歯切れの良さが出て、鼓動感も迫力が増した印象だ。最大トルクは現行モデル比で「ストリートツイン」が18%、「ボンネビルT120」が54%、そして「スラクストン」はなんと62%もアップさせているが、それを聞くまでもなく車体全体から伝わってくる力強いエネルギーからも、パワフルな走りが期待できそうだ。

「スラクストン」に関してはタンク形状やライポジからして現行モデルとは大きく異なり、本格的クラシックレーサー色がぐんと増した。特に今回国内投入が決まっている上級バージョン「スラクストンR」は、前後サスにショーワ製BPF(ビッグピストンフォーク)とオーリンズ製ツインショックが採用されて、足回りのグレード感はSTDモデルとは一線を画すものとなっている。ブレーキもブレンボ製モノブロックが装備され、そこにシリーズ最強エンジンが組み合わされることを考えれば、相当アグレッシブな走りができることは想像に難くない。きっとサーキットレベルでも十分楽しめるパフォーマンスに仕上がっているはずだ。ちなみに開発者の話では、T120とスラクストンではシャーシやディメンションも異なり、それぞれのキャラクターに合わせてハンドリングも作り込んでいるそうだ。

また、「ストリートツイン」に関してはバーチカルツインらしい小気味よい鼓動感とともに、スムーズかつ精緻な回転フィールが感じられた。迫力では1200ccには一歩譲るかもしれないが、取り回しは明らかに軽く、シート高も一段と低く設定され、街乗りでの使い勝手に優れるはず。スタイリングからして軽快で都会的だが、場所を選ばずオールラウンドに楽しい走りを披露してくれるだろう。

今のところ国内導入が決まっているのは「ストリートツイン」と「ボンネビルT120」、「スラクストンR」の3機種で、発売はストリートツインを皮切りに来年1月以降の予定。ブラック塗装の「T120ブラック」とSTDモデルの「スラクストン」に関しては未定である。現時点では3モデルとも価格、詳細スペックとも未発表だが、それぞれのモデルが持っているキャラクターをより個性的に進化・深化させていることは間違いない。ワンランク上の走りのパフォーマンスを本格的ヘリテージの世界観に求めるユーザーにとっては、より妥協のないモデルに仕上がっているといえそうだ。

また、今回は豊富なアクセサリーに加え、モデル毎の個性をさらに際立たせる「インスピレーションキット」や「クロージング」も同時に発売されるということも合わせて、ますます楽しみである。
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ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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