ACE CAFEとバイクとサブカルチャー

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

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音楽とファッション、バイクが結びついて花開いたロッカーズ文化

私は今、トライアンフの新型ボンネビルシリーズの取材のためロンドンに滞在中です。英国はモーターサイクル発祥の地ですが、100年以上の長い歴史を語る上で欠かせないのが「ACE CAFE」の存在です。

現在のオーナーは何代目かのマークさん。革ジャンに白髪をグリースで固めた現役ライダーで今も毎日バイクで通勤しているそうです。昔はかなりワルで鳴らしたような風貌ですが、元々は騎馬警官だったというのが笑えます。マークさんは話が長いことで有名ですが、今回も「ACE CAFE」にまつわる歴史をとうとうと語ってくれました。

設立は1938年ということですから第二次世界大戦前のこと。モータリゼーションの発達とともにロンドン郊外に道路が広がっていき、その道沿いにガソリンスタンドや雑貨店などの商業施設が立ち並んでいったそうです。今もお店があるウェンブリー周辺も戦時中はドイツ軍の空襲により被害に遭いましたが、戦後に進められた新たな街作りの中でACE CAFEも復活。その原動力になったのが当時の若者たちでした。

時は1950年代後半。アメリカから持ち込まれたジュークボックスから流れる最先端のロックを聴きに、自慢のバイクでカフェに集う若者たちのエネルギーが満ち溢れていたそうです。彼らは”ロッカーズ”と呼ばれました。血気盛んな若者が集まれば当然、バイク談義も熱を帯び、そのうち店先の道路でレースまがいの競争が始まり、それを見物しにまた野次馬たちが集まってくるという、一種の社会現象になっていったわけです。古き良き時代ともいえますね。

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ともあれ、音楽とファッション、バイクが結びついて花開いたロッカーズの文化は、ブリティッシュ・モーターサイクルとともに瞬く間に世界に広がっていきました。ボンネビルなどの当時の最新モデルは4輪のミニよりも高かったそうで、その意味でも若者たちの憧れだったんですね。

後のビートルズやローリングストーンズなども、元を辿ればロンドンで生まれたサブカルチャーに源流があります。そして、こうした文化の担い手だったのが若者たち。いつの時代でも未来を切り開くのは彼らなのです。

「ACE CAFE」の壁に飾られた懐かしい写真を眺めながら、そんな感慨にふけるのでした。

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ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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