ヤマハのヒト型自律ライディングロボットにあえて物申す

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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モーターショーに見る「バイクの原点像」

今年の東京モーターショー。バイクの出展にインパクトが欠けるとの意見もあるようですが、私はそうは思いません。各メーカーの持ち駒を正常進化させているに過ぎないという面はあるにせよ、「バイクは使えて、気が向けばどこでも遊べるもの」という私の考えるバイクの原点像が、追求されたモデルが多く見られるからです。

その意味で、ホンダのカンファレンスで八郷社長の後ろにスーパーカブが鎮座していたこと、ヤマハが3輪版MT-09をワールドプレミアで発表したことに、妙な安心感を覚えたものです。
 
一方で四輪車に目を向けると、自動運転や居住空間志向の出展は純粋に乗り物が好きな私にとってはうんざりです。その点で、ヤマハのスポーツカーの出展は新鮮です。「人機官能」を提唱するヤマハがクルマを造ったらこうなるというのを味わいたいと思ったのです。餅は餅屋に任せて、ヤマハはバイクに専念して欲しいという気持ちもありますが・・・・。

ヤマハの開発思想、「人機官能」の本質とは?

 
ただ、注目に水を差すようで申し訳ないのですが、ヤマハのヒト型自律ライディングロボットはいただけません。
 
第一、ロッシより速く走るなんて、体操の内村航平選手のような妙技をこなせるロボットが完成しない限り不可能です。そして何より、ライディングのスポーツとしての本質を人々に間違って伝えていることにもなります。ロボットの小手先の操作が「人機官能」につながると考えているとしたら、それは人機官能の本質を履き違えているのです。
 
お断りしておきますが、私はあのロボットを否定しているわけではありません。バイクの操縦安定性の基礎研究に大いに有効なはずだからです。それに、開発初期のハンドリングテストにおいてロボットがデータを収集してくれる可能性があると考えます。
 
ただ、基礎研究への取り組みを俗受けするようにアピールしたことによる弊害があると思えてならないのです。

和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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