最近バイクが乗りづらくなったという方、もしかしたらタイヤかも。

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長 】

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先日、ライディングスクールの参加者からある疑問を投げかけられました。「最近どうもハンドルが重くて走りづらいのですが何故なんでしょう。昔に比べて妙に腕に力が入っちゃって・・・」というものでした。

そこで、どんなものか、ちょっとお借りして乗ってみました。車種はビッグネイキッドですが、たしかに低速でハンドルが切れ込みやすく、それを補正しようとすると変に腕に力が入ってしまう。車体の傾きに応じて自然にハンドルが切れてくる、理想的なセルフステアとは程遠い感じです。

バイクによってハンドリングの味付けはいろいろですが、あまりに違和感があるのでチェック開始。センタースタンドをかけて前輪を浮かせてみましたが、ステアリングの動き自体は悪くありません。ふと、フロントタイヤを見て気付いたのがトレッド面の摩耗。中間バンク部分がすっかり摩耗して平らになっているではありませんか。センター部分の溝はまだ十分残っているのに、中間部分ではスリップサインが出かかっています。

2輪のタイヤ断面は通常ラウンド形状をしていますが、そのラウンドが削ぎ落とされた状態。フロントタイヤを上から見てみると、極端に言うと先が尖った三角形になっていました。そのため、車体が直立時にはフロントに落ち着きがなく、ちょっと倒し込むとすぐにハンドルが切れ込んで、それを補正するために腕力が必要、という悪循環に陥っていたのです。

タイヤの摩耗でよく見かけるのはセンター部分だけ減っている例。通勤や高速ツーリングなど直線で長い距離を走る人に多いタイプですね。逆にショルダー部分が妙に減っている例で、特にリヤタイヤのエッジ部分の摩耗が激しい場合は、だいたいサーキット中心の使い方だと分かります。

では、前述の例ですが、どうしてそうなってしまったのでしょう。本人に聞いたところ、最近、地元の練習会などによく通っていて、低速でグルグル回る練習などをよくやっているとのことでした。それで合点がいきました。低速で小さく曲がるためにはハンドルを切って車体を倒し込む必要があります。すると、前輪の接地点がタイヤの端のほうに移動していき、またスリップアングル(タイヤの向きと進行方向のずれ)が大きくなることで路面の抵抗も増えるため、より摩耗しやすくなります。実際にやってみると分かりますが、「切って寝かす」とよく曲りますが、それだけフロントタイヤへの負担が大きくなるとも言えるのです。

一般的にプロファイル(断面形状)が尖ったタイヤは倒し込みが俊敏で軽快なハンドリングと言われますが、摩耗によって作られた形状は本来のタイヤ設計の意図とは異なる「悪いクセ」を誘発します。人間の素晴らしくも悪しきところは、これに慣れてしまうこと。それなりに順応してしまうんですね。ただ、偏摩耗したタイヤをそのまま使っていると、乗り方に変なクセがついてしまいますし、グリップ性能やハンドリングの面でも危険です。空気圧によっても偏摩耗は起きますので、日頃のチェックは欠かせないですね。季節も良くなってきましたので、ぜひ安全で気持ちのいいライディングを楽しんでください。

ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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