RC213V-Sは最高のスポーツバイクだった

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト 】

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ホンダのモトGPマシンRC213Vの公道走行可能なレプリカマシンRC213V-Sが、ついに登場。スペインのヴァレンシアサーキットで試乗する機会に恵まれました。

試乗できたのは世界で21名だけなのですから、まさに幸運です。

正直言って、感激でした。この仕事をしていて良かったとさえ思いました。RC213Vがそっくりそのまま公道走行可能な形で市販されること、国内価格が2190万円と高額で、限定生産であるといったことでも、注目を浴びてきたのですが、このモデルの本質は実はそんなことではなかったのです。それが試乗を終えての正直な感想です。

RC213V-SはモトGPマシンから大幅にデチューンされ、試乗した欧州仕様でさえ、最高出力は昨今のリッタースーパースポーツよりも低い159psでしかありません。

となると、エキサイティングさは去勢され、さらに電子制御で安全対策が施されているのですから、モトGPマシンをただ誰にでも乗れるようにしただけのバイクではないかとの危惧もありました。

でも、それは浅はかというものでした。モトGPマシンからそっくり受け継がれたハンドリングと、調教され使い切れるエンジン性能が織り成すライディングの世界は、世界最高のスポーツバイクと形容するに相応しいものだったのです。

使い切れないだけの動力性能を持つ重くてデカいマシンよりも、エンジンが使い切れて軽くて扱いやすい車体のマシンのほうが、乗って楽しいのは言うまでもありません。おまけに、RC213V-Sは、止まり、曲がり、走ることを高次元にこなせるため、多くの市販スポーツよりも実際にサーキットを走って速いのです。

RC213V-Sは、いたずらに高性能で、重くデカくなった近年のバイクに対するアンチテーゼでもあったのです。そして、将来のバイクの然るべき方向を提唱していたのです。私はバイクの将来に光明を見出した気さえするのです。

▼Stoner with RC213V-S

和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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