リターンライダーの事故原因の多くは柔軟性の欠如?

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト 】

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昨今、しばしばリターンライダーの事故が話題になります。そこで事故原因として、反射神経の低下と、高性能化したバイクへの対応不足が挙げられることが多いようです。でも、本当にそうなんでしょうか。

高齢になっても武術の達人がおられることからも分かるように、反射神経そのものはそんなに衰えるものではありません。確かに、バイクの基本性能が向上し、昔のバイクと同じ感覚で走り、曲がり、止まることを高次元にこなせるようになり、うっかりスピードを出しすぎたことが原因というケースもあるでしょう。でも、ほとんどの人は車を運転しているのですから、それが本質とは思えません。

かつて、更年期障害に陥り、今から思うとバイクに乗ってはいけない状態にあった私自身の経験から言うと、その最も大きい原因は、実は身体の固さなのです。

10年ほど前、日本とヨーロッパを1週間毎に往復する生活を送っていた私は、過労で自律神経失調症になっていました。交感神経優位により、不眠症に加え、筋肉の拘縮が進み、さらに昔のケガの後遺症もあって、骨盤、肩甲骨回りや体幹部がガチガチになっていました。

そのため、若いときのようにうまく走れないばかりか、街中での不意の対処ができず、危険な目に遭ったことも2度ほどありました。

バイクとは、身体の微妙な動きによってコントロールしていく乗り物です。身体が固いと微妙な動きができません。また、固さのために日常生活の中でそうした動きがなくなると、動きそのものを身体が忘れてしまいます。それを、あたかも反射神経が働いていないように感じるのです。

こうした経験が、ライディングにおける身体の動きを考える機会になったのは、災い転じて福となるといったところですが・・・・。ともかく、ライディングスクールなどで見掛ける熟年ライダーの中には、かつての私以上に身体が固い人がいることも事実です。

その意味で、健康体を維持するためにバイクに乗るというよりも、バイクに乗るために健康体を維持できるよう、体を手入れすることが大切と考えるべきなのかもしれません。

和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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