技量と経験があっても事故を避けられないときがある

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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私は先日、友人の一人をバイクの事故で亡くしました。その彼が50代の熟年ライダーとなれば、いわゆるリターンライダーであると思われるかもしれません。でも、決してそうではありません。

若い頃はモトクロスレースに熱中し、その後も一貫してバイクを乗り継いできました。自宅のガレージでイタリア製スーパースポーツのエンジンをオーバーホールし、サーキット走行も楽しむほどの上級者です。

仕事もバイクエンジンの重要機能部品の設計開発に携わり、国内外メーカーとの付き合いもあって、バイクに関するプロフェッショナルでもありました。

ところが、とあるローカルワインディングでの突然の事故です。詳しい状況はともかく、悪い条件が重なったとしか言いようがありません。もし、対向車とすれ違うタイミングが1秒ずれていたとしたら、事なきを得たかもしれないのです。

さまざまな事故の発生に関してハインリッヒの法則というのがあります。「1つの重大事故の背景には29の軽微な事故があり、その背後には300のひやり事故が存在する」というのです。

だから、何回かのひやり経験を生かし、そこから安全を学習していかなければなりません。でも、裏を返せば、ごく一部の人にとっては、最初のひやり経験が、重大事故になってしまう可能性があるということです。

もっと言えば、公道を走ること自体が、他車との干渉という危険を秘めている行為である以上、いくら経験豊かな上級者であっても、事故の可能性は皆無でないということでもあります。

こうしたことを改めて肝に銘じ、これからもバイクを楽しんでいきたいものです。私はこの事故を無駄にしないと霊前に誓い、このコラムで紹介させていただく次第であります。

和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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