なぜ人はバイクに乗るのか(その3)

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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バイクを楽しむことは、人間の本能に基づいた行為です。前2回で触れたように、人には遠くに行きたいという本能があって、またライディングは人間の生物としての身体操作法に由来しています。だからこそ、バイクは人間性を目覚めさせてくれるのだと私は考えています。

そして、もう一つ、バイクには「いじる」という楽しみがあります。そのことには、オリジナルの最良の状態に整備すること、調整機構を用いてセッティングを最適化させること、パーツ交換や改造によって特性やスタイリングをアレンジするカスタム化も含めて考えていいでしょう。

バイクいじりは、人を没頭させ無心にさせてくれますし、そのことでバイクにますます愛着が沸いてきます。やはり、これも人間の本能に基づいた行為なのです。

人類は、道具を使うことを覚え、それを進歩させることで脳が発達してきました。さらに道具を使いこなすために、脳とともに細かい作業を可能とする表層筋も発達してきました。そして、道具の進歩に伴ない、言語を生みだすこともできたのです。

ですから、バイクいじりは、人類の進化の過程における大切な行為を蘇らせてくれるということになりましょうか。

もちろん、生活用品の修理や日曜大工などにも同じことが言えます。でも、バイクいじりには、もっと特別な思い入れが絡んでいると思えてなりません。

それは、バイクに手を入れたことで走りの世界が影響され、前回までに触れた人間の本能への関わり具合への変化を実感できるからではないでしょうか。我々の先祖が道具を進歩させたことで、生物としての進化を加速させることができたようにです。

ただ、機械としての魅力が剥き出しだった昔とは違い、今日のバイクは高度に複雑化し、人間が人間らしく関わることのできる道具ではなくなりつつあることも否めません。その意味で、バイクを素の状態へと原点回帰させることも大切だと考えます。そのことで、もっと多くの人にバイクの魅力に気付いてもらえると、私は期待してしまうのです。

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