なぜ人はバイクに乗るのか (その2)

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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バイクの魅力とは、人間性を目覚めさせてくれることにあると思います。今回は、その第2回として、バイクライディングのスポーツ性というものに注目してみましょう。

ライディングは、まさにスポーツです。競技としてバイクコントロールを極めていくことは元より、周囲の雰囲気を楽しみながら、コーナーで身体全体を使ってマシンを駆っていくのもスポーツです。そして、その本質は、他のスポーツと同じように、人間探求にあります。

私は、ライディングにおける身体操作は、魚類の泳ぎ、トカゲの身体をうねらせる歩き方、哺乳類の四つ足歩きを起源とする、脊椎動物由来のものであると考えています。

マシンを蹴ったり押したりすることなく、体幹を使って体重移動することで、バイクはニュートラル性を保ち本来の運動性を発揮できるのですが、そのための身体操作こそが生物由来の動きなのです。

この世にバイクが誕生した100年余り前から、「乗馬とバイクライディングには通じるものがある」と言われてきたようです。それは、乗馬では人間が馬の動きに合わせ、バイクでは人間が馬のように振舞うということでないかと考えることができます。そして、うまくバイクに乗れたときの快感とは、人間のDNAに何億年か前に刻まれた本能と通じ合えたことによるものではないでしょうか。

そうなると、バイクとの間には特別な感覚が生まれてきます。バイクにうまく乗れるほどにバイクはそれに応えてくれ、自分の潜在的な部分でバイクと通じ合えるわけですから、バイクが自分の一部になったかのようになってきます。「人馬一体」とか「人車一体」はまさにそのことで、やはり100年余りから言われてきた感覚なのです。

そう考えると、世の中にバイクほど人間性に働きかけてくる乗り物はありません。移動の手段となりそうな様々な乗り物の形態が提唱されていますが、そのままでは倒れてしまう不安定な二輪車という形態の乗り物が、なくなることは永遠にないはずなのです。

和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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