[HONDA]JMX Rd.1 Team HRCが両クラスを制す

今季の全日本モトクロス選手権は、昨年より1戦増えて年間10戦のスケジュール。その開幕戦が、4年連続で初戦の舞台に選ばれた熊本県のHSR九州で行われました。この複合モータースポーツ施設は、Hondaの二輪車生産の国内拠点となっている熊本製作所の敷地内に設けられています。

HSR九州のモトクロスコースは、昨年の開幕前に完全リニューアル。世界選手権が開催できるほどの仕様となりました。今大会は悪天候に見舞われ、日曜日の昼ごろにかけて断続的に大雨となり、決勝日のコースはマディコンディション。この影響で、各クラスのレース時間は5分短縮され、IAクラスは25分+1周で競われました。

HondaのワークスチームであるTeam HRCからは、今季で4年目のコンビとなる昨年度王者の成田亮と昨年度ランキング2位の小方誠が、最高峰クラスのIA1に参戦。3年連続の年間ランキングトップ2を目指します。また、IA2には富田俊樹の1台体制で臨み、Hondaと富田にとって2年ぶりとなる王座奪取を狙います。

■IA1(450/250)ヒート1
ディフェンディングチャンピオンの成田が好スタート。これに小方が続き、Team HRCがトップ2で1周目をクリアしました。レース序盤、成田と小方は、後続の小島庸平(スズキ)や熱田孝高(スズキ)らを少し引き離しながら、トップ争いを展開。3番手争いでは熱田が前に出て、小方と熱田の差は5秒ほどになりました。

中盤、一度は離れかけた成田と小方の差が再び詰まり、レースが後半に入った7周目にはテールトゥノーズに。そして8周目、小方が成田をパスしました。そんな中、この2台に後方から熱田が接近。トップ争いは小方、成田、熱田の3台によるバトルに発展しました。

ラスト4周となった10周目、難しい路面コンディションの中で小方にミスが出て、やや失速する間に成田がパス。小方はさらに熱田にも抜かれ、3番手に後退しました。次周、トップの成田は熱田に迫られるも、熱田がコースアウトしたことで逆にアドバンテージを拡大。成田がそのまま優勝、熱田が2位、小方が3位となりました。

■IA1(450/250)ヒート2
小方が好スタートを決め、オープニングラップを田中教世(ヤマハ)に次ぐ2番手でクリア。3番手の小島を挟み、成田が4番手で続きました。2周目、小方は小島に逆転を許して3番手に後退。3周目には、トップを走っていた田中が転倒して小島がトップとなり、やや離れて小方と成田と熱田が2番手集団を形成しました。

4周目、成田が小方をパスして2番手に浮上すると、その後は小島との差を削り、6周目からは小島の背後でプレッシャーを与える展開。そして7周目、小島がマシンの挙動を乱したチャンスを見逃すことなく、成田が勝負を挑み、激しいバトルの末にトップに浮上しました。

一方の小方は、エンストにより5番手に後退。それでもあきらめることなく前を走る熱田を追い、ラスト4周となった10周目に勝負をかけました。しかし、ここで小方が転倒。単独走行の5番手となりました。レースは、確実に順位を守った成田が勝利。ラストラップに熱田が転倒したため、小方は4位に入りました。

■IA2(250/125)ヒート1
Team HRCの富田が好スタートを決め、竹中純矢(スズキ)や渡辺祐介(ヤマハ)、岡野聖(ヤマハ)などを従えながら、1周目をトップでクリア。レース序盤、富田と竹中は数秒の差を保ちながら、渡辺以下を徐々に引き離していきました。また、田中雅己(TEAMナカキホンダ)は5番手でオープニングラップをクリアして、上位進出を狙いました。

後半に入ると、富田のペースがやや落ちて竹中に接近を許し、7周目にはテールトゥノーズに近い状態。そして次周、富田は竹中に逆転されてしまいました。さらに富田は、9周目に転倒を喫して3番手に後退。一時は岡野にも迫られましたが、こちらは終盤に振りきり、13周のレースを3位でゴールしました。また、田中は7位となりました。

■IA2(250/125)ヒート2
田中が好スタートを決め、これを富田が追走。すぐに逆転して、富田、田中、竹中、大塚豪太(T.E.SPORT)、池本凌汰(スズキ)の順で1周目をクリアしました。レース序盤、トップの3台が縦に長いグループを形成。大塚は、池本を従えながら4番手をキープしました。レース中盤の6周目、竹中が転倒。これにより、富田と田中によるトップ争いとなりました。

レースが後半に入った7周目、それまで富田をマークし続けていた田中が、逆転に成功。一時は、10秒近いアドバンテージを奪いました。しかし、周回後れが大量に発生すると、田中の走りに乱れが生じ、この間に富田が再接近。ラスト3周となった11周目に、失速した田中を富田がパスしました。そしてレースは富田が勝利。田中は2位でゴールしました。

コメント

成田亮(IA1・優勝/優勝)
「シーズンオフに鎖骨とろっ骨を折ってしまい、あまりマシンに乗ることなくこの開幕戦を迎えました。そんな状況に加え、チームメートの小方選手をはじめとするライバル勢が好調。事前のテストなどでは、コンディションがいい路面では自分の方が遅かったので、正直なところ今回は勝てないだろうと思って臨みました。その一方で、ここはHondaのホームコースで、今回も大勢のHonda関係者が応援に駆けつけてくれていたので、なんとしても勝たなければいけないという思いもありました。その分プレッシャーが大きかったですが、結果的には両ヒートで勝利を収めることができ、ホッとしました。今季は、徐々に調子を上げていくつもりで、最終的には王座を守りたいです」

小方誠(IA1・3位/4位)
「このシーズンオフは、ニュージーランドでも乗り込みとトレーニングをしてきました。もちろん、今季の全日本でチャンピオンになるためです。2年連続で2位だったので、3度目の正直という気持ちがかなり強くあります。しかしこの大会は、満足できるような成績を残すことができませんでした。ヒート1は、トップを走りながらミスによりポジションを落としましたが、一番の問題点は、トップに立ってすぐに後続を引き離せなかったことだと思っています。ヒート2は、路面がかなり荒れた状態で、ベストラインを決められず、前に離されることになってしまいました。さらに、エンストなどのミスもしてしまいました。しかし、調子がいいことには変わりないので、次戦でさらに上を目指します」

富田俊樹(IA2・3位/優勝)
「開幕戦ということで、特にヒート1はかなり緊張してしまいました。シーズンオフに、肩の脱きゅうグセを治す手術をして、3月上旬から1カ月くらいしか乗り込めていないという不安があり、その一方で、チームの体制や参戦するライバルたちのことを考えれば、勝って当然とすら言われるような環境。そういうことを考えすぎ、必要以上に硬くなってしまったことが、ヒート1の悪い走りにつながりました。ヒート2では、なんとか勝利こそ得られましたが、走りの内容ではこちらも満足できるようなものではありませんでした。とはいえ、緊張という点では開幕がピークとなるはずです。シーズン全勝は狙えなくなりましたが、残り9戦18ヒートをすべて勝つために、まずは次戦で両ヒートを制覇します」

芹沢直樹 | Team HRC監督
「成田と富田は、シーズンオフに乗り込みができていない状況でしたので、この大会は苦戦の可能性があると覚悟していました。しかし実際は、成田が両ヒートを制覇。Team HRCに加入してからHondaのホームコースであるこのHSR九州で一度も負けていないという、ここぞというときの勝負強さを、チームとして称賛したいです。一方で小方は、このオフに得た力を十分に発揮することはできませんでしたが、シーズンは長いので、次戦以降で巻き返してくれると期待しています。そして富田は、本来の実力が出せればより簡単に勝てるはずですが、今大会で本人もその手応えを得られたと思います。なお、チームは今季、世界選手権やAMAスーパークロスでのチャンピオン経験があり、現在も選手としてレースに参戦しているベン・タウンリーを、ライディングコーチとして招きました。その成果は、徐々に表れると思います」

田中雅己(IA1・7位/2位)
「レースウイークに入って発熱があり、コースコンディションがかなり悪かったことから、ヒート1はとにかく転ばずに走りきろうという考えで臨みました。結果的には、コースを攻略しきれなかった点が課題として残りました。ヒート2は、昨年までTeam HRCで学ばせてもらった、マディコンディションでのマシンセッティングに関するノウハウを取り入れたところ、これがうまくマッチしました。周回後れが発生してからリズムが崩れ、しぶとい富田選手にやられてしまいましたが、これまで苦戦してきたマディのレースで表彰台に立てたので、ファクトリー勢を相手に勝負できる自信になりました」

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