ライディングはスポーツだから、伝えるのが難しい(下)

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】


私は25年前、「ライディングの科学」という本を書きました。レース引退に際し、考え方をまとめておきたい気持ちでした。でも、内容には根本的な誤りがありました。当時の私には、ライダーがマシンと力のやり取りをするから体重移動できる、としか考えられなかったのです。マシンを蹴るという作用の反作用によって、ライダーはコーナーに飛び込めるというわけです。

そう信じ、10年余りが過ぎましたが、何かが違うとの想いは拭い切れませんでした。そんな折、知ったのが二軸運動理論でした。一軸運動は身体の中心に1本の軸があって、二軸運動は股関節と肩関節を結ぶ左右の2軸を入れ換えながら、身体を動かしていくというものです。

その本質は、走法では、一軸運動では地面を蹴り、二軸運動は力を抜いて足を踏み出していくところにあります。二軸運動なら、体重移動しても、マシンはストレスを受けず、素直に旋回性を引き出すことができるというわけです。

その後、二軸運動の原点は人間の祖先である四つ足動物の歩き方にあるとする常歩運動理論に出合い、二軸ライディングは常歩ライディングに発展しました。常歩(なみあし)とは馬の歩き方のことです。

さらに、私はその考え方を発展させ、生物の進化を爬虫類まで遡ることで、よりライディングの本質に近付くことができました。私はそれをリザード(とかげ)ライディングと呼んでいます。

外足荷重はライディングの基本です。ところが、外足荷重のままではイン側に体重移動できないと考える人がいます。でも、それはできるのです。これには体幹を使うことが大きなポイントともなります。

ハンドルの握り方に注目すると、斜めに握るのか真っ直ぐ握るのか、また、腋を締めるのか肘を開くのか、人によって言うことは様々です。これに関しては、廣戸聡一氏の4スタンス理論をライディング向きに適用することで、各自に合った握り方を推奨できるようになりました。これは乗り方に影響する重要ポイントでもあるのです。

私も、ライディングの奥深さに取り付かれた一人なのです。

和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

この著者の最新の記事

関連記事

編集部おすすめ

  1. ヤマハ発動機販売は、春の新生活に向けて125ccスクーターライフを応援する「原付二種盗難保険…
  2. カワサキモータースジャパンは、ライダーデビューを応援するために免許取得をサポートする「ライセ…
  3. カワサキモータースジャパンが3月1日(日)より、「総額3億円キャッシュバックキャンペーン」を…
  4. SB6Xがさらに使いやすく快適に サイン・ハウスは、Bluetoothインカム「B+COM…
ページ上部へ戻る