2輪ABS義務化が2018年から実施

国土交通省は交通事故死者数の削減に向け、「道路運送車両の保安基準」等の省令等を改正した。昨年11月に開かれた第2回車両安全対策検討会で、二輪車へのアンチロックブレーキシステム(ABS)、コンバインドブレーキシステム(CBS)の装備を義務づける方針を固めたが、今月22日をもって正式に法令改正の公布・施行となった。

なお、二輪車への先進制動システム(ABS)/(CBS)の装備義務付けは新型車が2018年(平成30年)10月1日以降、継続生産車が2021年(平成33年)10月1日以降となっている。

適用範囲としては、具体的には二輪自動車にはアンチロックブレーキシステム(ABS)を、第二種原動機付自転車(排気量50ccを超え125cc以下)にはABSまたはCBSを備えることが義務づけられることになる。エンデューロモデルやトライアル車などの競技車両は除外されている。

今更ながらだが、ABSとは急ブレーキ等による車輪ロックを防止するシステムのこと。車輪ロックは突発的なパニックブレーキや濡れて滑りやすい路面などで起こりやすく、2輪の特性上、転倒に結び付きやすい。ABSが標準装備されることで直線であれば転倒リスクを最小限に抑えつつ、思い切りブレーキをかけられるメリットがある。またCBSは前後ブレーキを連動させることで、運転者が一方のブレーキのみを操作した場合でも、前後輪に適切な制動力が分配されることで最適な制動力が得られるシステムである。ABSもCBSも最近では電子制御化が進み、機械的精度や信頼性、コントロール性もひと昔前に比べると格段に進化している。

いずれも運転を支援するための装置であり、ブレーキ性能を向上させたり制動距離を短縮したりするものではないとされるが、ただ現実的には常に限界ギリギリでのブレーキングができる人などはいない。路面状態が安定していて対向車や飛び出しの心配がないサーキットならまだしも、何が起こるか予測ができない公道においてはなおさらだ。近年における2輪の高性能化とその一方にあるモビリティ全般に対する安全意識の高まり、そして自分自身のライダー経験からしても、もはやこうしたセーフティデバイスは2輪にとっても不可欠なものと言っていいだろう。

以前にも書いたが、欧州ではすでに2016年から2輪車へのABSの標準装備が義務化されることが決まっている。その背景には2輪死亡事故の多発が社会問題化したことが挙げられ、ドイツをはじめ欧州では早期から2輪用ABS義務化への関心が高まっていた。ちなみにドイツ・ボッシュ社の調査によるとABS標準装備化により、生命にかかわる深刻な事故の1/4を防止できるという。

ABSやCBSは安全には欠かせないデバイスである。とはいえ、絶対的な安全を保証するものではない。交通心理学で良く知られた「リスクホメオスタシス理論」(危険を回避する手段・対策をとって安全性を高めても、人は安全になった分だけ利益を期待してより大胆な行動をとるようになるという説)の例を出すまでもなく、ライダー自身のメンタルコントロールが昔も今もこれからも最重要であることに変わりはない。

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

【関連ニュース】
◆国土交通省、二輪自動車へのABS装備義務法令改正を発表 2018年から義務化へ
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ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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