【国産スーパースポーツの逆襲】新型「YZF-R1」に見る日本のモノ創りの底力!

最近、国産スーパースポーツが元気を取り戻してきた。

長期に渡って世界のサーキットを、そしてストリートを席巻してきた日本製のスーパースポーツだが、ここ数年はBMWやドゥカティをはじめとする外国製の高性能マシンに後塵を浴びせられてきた感はぬぐえない。世界最高峰の2輪モータースポーツであるMotoGPでは、日本メーカーのファクトリーマシンが圧倒的な強さで首位争いを繰り広げているにも関わらず、量産市販車レベルではCBRやR1、GSX-RやZX10-Rも含めて開発が止まってしまったかのような不安というか、「一体どうしてしまったんだ」と忸怩たる思いで見守っていたファンも多かったはずだ。

その鬱憤を晴らすかのように、今年のインターモトやEICMAでは日本メーカーから革新的なニューモデルの発表ラッシュとなった。ホンダはMotoGPマシンのリアルレプリカともいえる、究極の公道仕様車として開発を進める『RC213V-S』のプロトタイプを出品。カワサキからは300psのスーパーチャージドエンジン搭載の“究極のロードスポーツ”『Ninja H2R』とその公道バージョン『H2』が発表された。そして、ヤマハは久々のフルモデルチェンジとなる新型フラッグシップモデル『YZF-R1』と上級モデル『YZF-R1M』を発表、来年3月上旬から欧州を皮切りに販売することが公式にリリースされた。

今回、注目したいのは、オールニューとなる 2015 年モデルの「YZF-R1」「YZF-R1M」だ。”High tech armed Pure Sport”のコンセプトのもと、MotoGPマシンYZR-M1 の技術思想を体感できるサーキット最速のポテンシャルを備えたモデルとして、あのバレンティーノ・ロッシも開発に携わったとされる。クロスプレーン型クランクシャフトを備えた新設計の 998cm3水冷・直列4気筒・エンジンを搭載し、200psの出力性能に加え、6軸姿勢センサーを市販車として初搭載するなど、まさにGPマシン直系の最新テクノロジーが惜しみなく注ぎこまれている。

開発プロジェクトリーダーの藤原さんは、日本代表という気概を持って日本のモノ創りを常に意識しながら開発に全力を打ち込んだという。そして、日本とヤマハは技術的な挑戦をやめないという宣言ができた、と技術者としての心意気を語っている。

※以下、ヤマハ発動機のニュースレターより抜粋。

「少々大げさに聞こえるかもしれませんが」と前置きして、「私たちプロジェクトチームは、日本代表という気概を持ってこのモデルの開発に取り組んできました」と藤原さん。ここ数年、日本メーカーのお家芸とも言える高性能二輪車の開発で「欧州メーカーに先行を許しているのではないかと感じていた」と振り返り、この渾身の一台で「日本のモノ創り、ヤマハのモノ創りの狼煙を上げてみせる、そしてもう一度プレゼンスを上げるんだ」と、企画、開発、製造の総力戦で取り組んできたと話します。新型「YZF-R1」には、それまでの常識を覆すいくつもの先進的な技術が盛り込まれました。

量産が困難とされてきたマグネシウム製のホイールや、チタン製のコンロッド、アルミ製の燃料タンクなどがその一例です。これまでにも一部のレース専用車には使われてきた高性能部品ですが、加工技術や耐久性の問題を根気よくクリアすることで、1万台規模の量産を可能にしたのです。

開発の指揮を執った藤原さんに、大きな影響を与えたのが日本の伝統工芸の世界でした。日本のモノ創りの現場で伝承される思想や仕組み、その一つひとつの技に感銘を受け、またそれを日本の技術者の一人として自信に変えて蓄えてきました。染織品や漆器といった伝統工芸に共通するのは、匠の技の連鎖による分業制。「熟練の職人が、前工程と後工程まで考慮して、目の前の仕事に一所懸命取り組むのが日本の強さ」。たとえば板金の難しいアルミ材を用いながら、鉄と同等レベルの加工精度を実現した燃料タンクなどは、「まさに職人技のリレーションによって生まれたと言って過言ではありません」と話します。

伝統工芸の職人技と先端テクノロジーを武器に、モーターサイクルの世界でも、メイド・イン・ジャパンの逆襲が今静かに始まろうとしている。

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

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ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

国産・外車を問わずミニモトからビッグバイクまで、どんなバイクでも乗りこなすモータージャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。
16歳から乗り継いだバイク30台、テストライド経験300台以上。装備や用品、カスタムパーツのテストも数多くこなしてきた。
MFJ公認インストラクター。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。

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