トヨタが恐れていること

トヨタが「空飛ぶクルマ」の研究をしているという。プロペラを使ってホバークラフトのように宙に浮いて移動するらしい。目的は事故を減らすためで、「空を飛べば道路での衝突事故もなくなり、安全なクルマ作りにつながる」のだとか。
そう簡単にはいかない気もするが、目に留まった新聞記事にはそう書かれていた。茶化すつもりは毛頭ない。むしろ、トヨタの姿勢に感銘を受けた。

新興国におけるモータリゼーションの発展に伴い、世界的に見ると自動車事故による死亡者数は増える一方のようだ。今や販売台数世界一となったトヨタは「世界で最も死亡原因を作っているメーカー」と揶揄されないためにも、自動運転技術も含めてその先まで見越した技術開発を続けているのだという。そこには危機感がある。

翻ってバイクはどうか。元々の運転特性から、また車両の構造からしても、クルマに比べて台数当たりの事故数は多く、事故が起これば重篤化する傾向があるのはご存知のとおり。ABS義務化の動きやスタビリティコントロールなどの電子制御技術も着実に進んではいるが、実態としては中高年ライダーの死亡事故はむしろ増えている。グローバルな視点に立てば、アジアで爆発的に増えているバイクによる事故増加もいずれ問題になってくるだろう。そこに対する決定打は今のところないように思えるが、真剣に考えるべき課題だ。

ますます高性能化するバイクは私たちライダーに夢を与えてくれるが、一方では恐ろしい凶器にもなり得るし、社会はそれを許容しないだろう。日進月歩で安全技術が進むクルマを横目で見ながらそう思った。

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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