[HONDA]MotoGP Rd.9 ドイツGP プレビュー

第9戦ドイツGPが、7月11日(金)から13日(日)までの3日間、ドレスデン近郊のザクセンリンクで開催されます。ザクセンリンクは、伝統と長い歴史を誇るサーキットで、1927年に初めてレースが開催されました。そして、61年から72年までは「東ドイツGP」の会場でした。その後、90年に東西ドイツが統合され、それから8年後の98年に、ドイツGPは全面改修を受けたザクセンリンクへと舞台を移しました。以来、ザクセンリンクはドイツGPの舞台として定着し、今年で17回目を迎えます。

ザクセンリンクは、アップダウンに富んだテクニカルコースで、グランプリが復活したころは、一周3.508kmでした。しかも、コーナーが連続するため、最高峰クラスのパフォーマンスを引き出すには物足りないサーキットでした。そのため、この十数年の間にストレート部分を延長するなど2度の改修を受け、現在は一周3.671kmへとわずかに長くなっています。アベレージも当初の時速140km台から時速160km台へと飛躍的に上がったことで、グランプリサーキットとしては平均的なレベルとなり、迫力ある走りがみられるようになりました。

ザクセンリンクでは、グランプリが復活した98年にミック・ドゥーハンが優勝して以降、アレックス・バロス、バレンティーノ・ロッシ(現ヤマハ)、セテ・ジベルノー、マックス・ビアッジがHondaマシンで優勝。2007年にはダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)がドイツGPで初優勝を達成し、さらに2010年から12年まで3連覇を果たしました。昨年はマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が優勝し、Hondaはザクセンリンクでは過去16年の間に10勝を挙げています。

開幕から8連勝を達成しているマルケスは、ザクセンリンクでこれまですばらしいリザルトを残しており、今年も優勝候補の筆頭に挙げられています。10年には125cc、11年、12年にはMoto2で優勝し、昨年はMotoGPで優勝と4年連続でドイツGPを制しました。ザクセンリンクは、テクニカルなレイアウトに加え、ブラインドコーナーが多く、シーズンを通して最も攻略が難しいサーキットの一つです。こういうサーキットで圧倒的な強さをみせるマルケスだけに、今大会もRC213Vのパフォーマンスを存分に引き出してくれるに違いありません。

チームメートのペドロサも、ザクセンリンクを得意としています。これまで250ccで2勝、最高峰クラスでは4勝を挙げています。昨年は、フリー走行で転倒した影響で決勝レースをキャンセルしましたが、今年は2年ぶりのドイツGP優勝と今季初優勝が期待されます。

前戦オランダGPでは、Repsol Honda Teamの2人がそろって表彰台に立ちました。8戦を終えてRepsol Honda Teamの1-2フィニッシュは2度、1-3フィニッシュは4度を数えます。今大会はマルケスとペドロサの優勝争いになる可能性が高く、今季3度目の1-2フィニッシュが期待されています。

8戦を終えて総合8位のステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、今大会がホームGPとなります。MotoGPにデビューした12年は5位、昨年は4位と、着実にリザルトを上げてきました。今年は第2戦アメリカズGPの予選3番手、決勝4位がベストリザルトですが、今大会は、予選と決勝ともに今季自己ベストを更新する意気込みです。

アルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)も、ブラドル同様にドイツGPで自己ベスト更新を狙います。一昨年の大会では、接触転倒によって受けたペナルティーで最後尾のグリッドから決勝に挑んだものの、すばらしい追い上げをみせて7位でフィニッシュしました。昨年は5位とさらにリザルトを更新。「ザクセンリンクは、シーズンを通じて最も難しいコースの一つ」と語るバウティスタですが、ともに今季2度目となるフロントローと表彰台を狙います。

Hondaの市販レーシングマシン「RCV1000R」勢も、テクニカルコースのザクセンリンクに闘志を燃やしています。8戦を終えて総合12位に浮上してきたスコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)は、開幕戦カタールGP以来のシングルフィニッシュを狙っています。MotoGPルーキーのレディングは、カタールGPの7位が今季ベストリザルト。今大会はその更新を狙っています。総合13位のニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)も、開幕戦カタールGPの8位をしのぐ今季ベストリザルトに闘志満点。チームメートで総合15位の青山博一と、総合17位のカレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)も、初のシングルフィニッシュを狙います。

Moto2クラスは、総合首位のエステベ・ラバトと総合2位のミカ・カリオ(ともにMarc VDS Racing Team)、総合3位のマーベリック・ビニャーレス(Pons HP 40)の3人がタイトル争いで抜け出した格好になっています。今大会はこの3人のチャンピオン争いと、テクニカルコースならではの大接戦に注目されます。12年の大会では、ポールポジションから1秒差以内に24台、昨年の大会では19台と、厳しい戦いになっており、今年も大接戦が予想されます。その厳しい戦いの中で、中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は今季ベストリザルトを狙います。また、長島哲太(Teluru Team JiR Webike)は、初ポイント獲得に挑みます。

Moto3クラスは、今大会もHonda勢の活躍が期待されます。2連勝中と絶好調のアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0)が、今季3勝目に闘志を燃やしています。第7戦カタルニアGPで左足を痛めたチームメートのアレックス・リンスは、カタルニアGPこそリタイアしましたが、第8戦オランダGPでは優勝争いに加わって2位になりました。足の回復も順調で、今大会もアレックス・マルケスとのチームメート同士による優勝争いが期待されています。今季4度の表彰台に立っているエフレン・バスケス(Saxoprint-RTG)も、初優勝に闘志を燃やしています。

Moto3クラスは8戦を終えてジャック・ミラー(KTM)が117点で総合首位。ロマノ・フェナティ(KTM)が110点で総合2位。2連勝中のアレックス・マルケスは、フェナティと同ポイントの110点で総合3位、リンスが107点で総合4位。バスケスが102点で総合5位と、Honda勢の3選手がチャンピオン争いに加わっています。シーズン前半戦の締めくくりとなるレースで、Honda勢がどんな走りを見せてくれるのか、大きな期待と注目が集まっています。

■コメント
マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「アッセンはいろいろと大変でしたが、トリッキーなコンディションで勝つことができたので、とてもうれしいです。そして、いい気分でザクセンリンクに向かうことができます。ザクセンリンクは、とてもすばらしいサーキットですが、タイトなコーナーが続き、コーナーも狭い特別なサーキットです。昨年の大会はとてもいいレースで優勝することができました。しかし、ダニとホルヘ(ロレンソ、ヤマハ)がケガのために出場していなかったので、今年は彼らとレースできることを楽しみにしています。特に、ダニはこのサーキットを得意としていますし、Hondaのマシンには合っているコースなので、この利点を最大限生かせるようにしたいと思っています」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合3位)
「前回のアッセンは天候が不安定で、とても難しいレースになりました。こういうレース展開のときは、チャンピオンシップポイントを大幅に失うことが多いのですが、しっかりと走りきって3位表彰台を獲得することができました。そして、ドイツと言えば、昨年の嫌な出来事を思い出します。土曜日のフリー走行で転倒して、その影響で決勝をキャンセルすることになりました。しかし、ザクセンリンクのレースは、いつも楽しみにしています。ここではいつもきっちりセットアップを詰めることができるので、いい走りができます。ここは左コーナーが多いのですが、タイムを短縮できるのは右コーナーの方なので、タイヤのパフォーマンスをうまく引き出すことがコース攻略のカギとなります。今年は、レースに出られなかった昨年の悔しさをぶつけたいです」

ステファン・ブラドル(MotoGP 総合8位)
「前戦オランダGPは難しいコンディションとなり、厳しいレース結果となりましたが、今までのアッセンよりは、いい結果で終えることができました。この数戦、よかったり悪かったりで難しいレースが続いているので、ザクセンリンクでのレースをとても楽しみにしています。ザクセンリンクは短くて難しいサーキットです。長いストレートがなくて、左コーナーが多く、正直言うと、あまり好きではありません。しかし、家族もファンも大勢来てくれるので、全力で挑みます。このレースが終わるとサマーブレイクになりますが、後半戦に向けても、今回いい結果を残すことがとても重要になります」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP 総合11位)
「ザクセンリンクは、低速で回り込むコーナーが続きます。今年は高速コーナーの旋回性に苦しんでいますが、この高速でのウイークポイントと、ザクセンリンクの特徴ある低速コーナーとの折り合いをつけなければなりません。前戦オランダGPは、ミスを犯しやすいフラッグ・トゥ・フラッグのレースでしたが、まずまずの結果を残すことができました。加えて昨年のドイツGPは、いいレースを戦えたので、今大会に向けて大きなモチベーションとなっています。木曜日には11コーナーで、安全性向上のためのテストが何人かのライダーによって行われます。昨年と同じレイアウトだとしても、安全性が高まるのであれば、将来に向けて興味深いテストになります」

スコット・レディング(MotoGP 総合12位)
「アッセンのオランダGPは、私にとってMotoGPでは初のウエットレースとなりましたが、いい結果を残すことができました。オープンカテゴリーを走るHondaライダーの中ではランキングトップで今大会を迎えられますので、このポジションをキープしたいです。ザクセンリンクはとても小さくて、このコースを走るにはMotoGPマシンは速すぎると思いますし、それだけにとても興味深いレースになりそうです。ザクセンリンクは、アップダウンに富み、コーナーが連続するのでとても好きです。このサーキットでMotoGPマシンを速く走らせるためには、ほかのサーキットに比べても、マシンのセットアップがとても重要になると聞きました。ここはほとんどが左コーナーですが、自分は右コーナーが得意なので、どちらのコーナーでも気持ちよく走るためのバランスが必要になります。今大会がとても楽しみです」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合13位)
「ザクセンリンクは、タイトで回り込むコーナーが連続するので、息をつく暇もありません。一瞬も目が離せないサーキットになります。カリフォルニアのラグナセカでグランプリが行われなくなったので、ザクセンリンクが最も短いサーキットになります。おそらく、10分の1秒に歓喜し、10分の1秒で悔しい思いをすることになります。全体的には低速コーナーが続きますが、ここの高速コーナーはとても気持ちよく、その部分を楽しみたいと思っています。タイヤのエッジグリップがとても重要なコースで、特に左側のエッジグリップが走りに大きく影響します。もし気温が上がらない天候になったとしたら、3つしかない右コーナーで、いかにフロントタイヤの右側の温度を上げるかが重要になってきます。現状、ベストの状態ではありませんが、自分もチームも、決してあきらめずにプッシュしていきます」

青山博一(MotoGP 総合15位)
「ザクセンリンクは、世界中のどのサーキットにも似ていない特別なサーキットです。小さくてテクニカルなので、MotoGPマシンにとってはパワーを持て余してしまうことになります。それだけに、今大会はいろんな意味で期待できると思います。オランダGPでは、ウエットコンディションとなった前半に競争力があることを証明できました。とてもいい仕事をしたと思います。後半は残念な結果になりましたが、今大会ではこの点を改善して、競争力ある状態に引き上げたいです。250cc時代から、このサーキットが好きですし、マシンのセッティングが決まれば、いい結果がついてくると信じています」

カレル・アブラハム(MotoGP 総合17位)
「アッセンで行われたオランダGPは、コンディションがミックスした状態だったので、すべてが複雑になり、難しいレースでした。できることなら、今大会はレースウイークを通じて天候がいいことを願っています。ザクセンリンクは、ほとんどがコーナーなので、ファクトリーマシンとの差が出にくいレイアウトになっています。ですから、いいタイムが出せると思っています。Honda RCV1000Rは、シャシーがとてもいいので、いいレースができると信じています」

エステベ・ラバト(Moto2 総合1位)
「このレースが終わるとサマーブレイクになるので、いい結果を残して休暇に入りたいと思っています。今週も不安定な天候が予想されていますし、前回のオランダGPのようになるかもしれません。前戦、ドライコンディションでは完ぺきな走りができましたし、フルウエットのときもいいフィーリングで走れました。しかし、レースはウエットから路面が乾いていくコンディションになってペースを上げられず、たくさんのライダーに抜かれました。それがとても残念だったので、今回はそんなレースにならないように全力で挑みます」

ミカ・カリオ(Moto2 総合2位)
「ザクセンリンクは好きなサーキットで、これまでも何度かいいレースをしてきました。しかし、今大会でダンロップがリアタイヤにハードとハード・プラスを投入することになっているので、自分にとっては不安材料になっています。自分のライディングスタイルと現状のセットアップでは、20ラップ走っても新品のような状態か、5〜6周でグリップが落ち始めるかのどちらかで、ちょうどいいところが見出せません。イタリアとカタルニアでは、この問題に苦しみましたし、今大会もこの問題解決に集中しなければなりません。前回のオランダGPもそうでしたが、ウエットコンディションでは引き続きいいレースができているので、天気予報通りに今回も雨のレースになれば、今の状態でもいい走りができると思います」

マーベリック・ビニャーレス(Moto2 総合3位)
「ザクセンリンクは好きなサーキットです。2011年にこのサーキットで初めてポールポジションを獲得しましたし、決勝では3位になりました。昨年も3位になっています。125ccでもMoto3でも、最終ラップの最終コーナーまで接近戦となりました。Moto2クラスも同じような戦いになると思います。今年はMoto2クラスのデビューシーズンですが、ここまでレースを楽しめていますし、今回もいいレースをしたいと思います」

中上貴晶(Moto2 総合22位)
「今大会はサマーブレイク前のレースなので、しっかり結果を残して、気分よく夏休みに入りたいです。昨年の大会は、オランダGPでケガをして完全ではない状態で大会に挑みました。この数戦、着実にいいポイントが見つかっているのですが、オランダGPでは予選結果を決勝につなげられず、悔しいレースになりました。今回はしっかりと結果につなげられるようにマシンを仕上げていきます」

長島哲太(Moto2 ノーポイント)
「前回のオランダGPはウエットコンディションになり、ポイントを獲得するチャンスだと思いました。しかし、マシンのセッティングとタイヤがマッチングせず、悔しいレースになりました。日本に帰ってしっかりトレーニングをして、ドイツに向けて気持ちを切り替えました。ザクセンリンクも初めてのサーキットになります。難しいコースだと聞いているので、コース攻略のためにも天候がいいことを願っています」

アレックス・マルケス(Moto3 総合3位)
「ザクセンリンクはとても珍しいサーキットで、短く、曲がりくねっています。そして、ライバルたちとは、これまで以上の接近戦になると思います。昨年の大会では、いくつかの問題を抱えていましたが、5位でチェッカーを受けることができました。このサーキットは好きなレイアウトなので、フリー走行からしっかりマシンのセットアップを進めたいと思います」

アレックス・リンス(Moto3 総合4位)
「オランダGPを終えてからの1週間、カタルニアGPで痛めた左足のリカバリーに全力を尽くしました。ザクセンリンクは大好きなサーキットですし、優勝した昨年同様、いいレースをしたいです。8戦を終えてポイントが接近しているので、とにかくミスをしないように、しっかり戦わなければなりません」

エフレン・バスケス(Moto3 総合5位)
「再び、トップグループに加わり、表彰台に立つために集中しなければなりません。ザクセンリンクは好きなサーキットです。ここはマシンのセットアップがとても重要になります。この数戦、単独で走っているときは気持ちよく走れるのですが、混戦になってブレーキング競争になると、自分の走りができなくなるので、その部分を改善しなければなりません」

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