[SUZUKI]JRR Rd.4 JSB1000 加賀山就臣今季初優勝、3位津田拓也と、スズキ勢1、3フィニッシュ

6月29日に宮城県スポーツランドSUGOで、全日本ロードレース選手権シリーズ第4戦が開催された。蔵王の山並みを眺める山間に作られたこのコース。全長は3.737kmと日本のサーキットの中では標準的な距離の中に、11のコーナーがレイアウトされている。最大の特徴は高低差が約70mあることで、最終セクションとして設けられたシケインから立ち上がると、10%という先が壁に見える登りのメインストレートを上がっていくこの場所は、世界的にも珍しい。今回のレースは、このシーズンオフに路面の全面改修が行われたことから、新しい路面への対応が必須となる。

2週間前に行われた事前テストでは雨が降り、ドライでのグリップは高いが、雨になるとコースサイドの水がコースに流れ込み、ほぼコース全周に渡って川ができしまう点が懸念材料としてライダーから挙がっていた。ちょうど梅雨のまっただ中であり、SUGOのコースでは霧雨になると霧が発生することも多々あることから、各チームともに天気予報をにらみながらレースウイークとなった。特に今回のレースは全日本の中でも特殊な形式となっており、52周、120マイルを走るセミ耐久スタイルが採られる。スズキ勢では加賀山就臣が一昨年ここSUGOで勝利。昨年は津田拓也が最後までトップ争いに加わりながらの3位表彰台獲得と、相性の良いコース、そしてレースと言える。

ドライで行われた金曜日のART合同テストでは津田がトップから0.4秒差の6番手に付け、順調な仕上がりを見せた。一方の加賀山は相性のいいこのコースで今季のここまでの流れを変えたいところだったがセットアップに苦労し、8番手でこの日の走行を終えた。

予選日の土曜は朝から雨になってしまった。今回のレースはセミ耐久ということで、一名、あるいは二名のライダー登録が可能のため、予選は二人が走る場合もあるので通常のノックアウト方式ではなく、1時間の計時スタイルで行われた。着実にウエットでのセットアップを進めた津田は、セッション終盤にセクター1で自己ベストを更新して赤マークを付け、その後のタイムに期待が集まったが、最終セクションのシケインでペースの遅いマシンに前をふさがれる形になってしまい、タイム更新ならず。トップと0.39秒差での4番手となった。加賀山も安定してラップを刻み、6番手でこのセッションを終えた。決勝日は前日以上の強い雨が朝から降ってしまった。

JSB1000クラスのレースは午後1時10分からスタートが予定されていたが、12時35分から始まったスタート進行中に激しい雨が降り出してしまい、レースはディレイとされた。雨脚はさらに強まり、コースのあちこちでグラベルの土がコース上に流れ出してしまう状況となってしまった。結局、2時間近いディレイの後、午後3時20分からフリー走行が行われ、15時53分にレースが40周でスタートされることとなった。また周回数減算となったが、給油などのピットインの義務はなく、走りきれるチームはピットインなしという作戦も可能となった。

レースがスタート。抜群のスタートダッシュを見せたのは加賀山だった。トップで1コーナーに飛び込み、そのままオープニングラップを制する。一方の津田はやや出遅れてしまい、1周目は8位でクリアする。40周という周回数は燃費的に微妙で、ペース次第では無給油で走りきることができる。しかしペースが速いと必然的に燃費も悪くなり、無給油で40周走りきるのは難しくなる。そのため、トップグループのペースがどれくらいになるのか、またピットインすることを前提にレースの組み立てを考えるチームは満タンにガソリンを入れる必要はなく、また無給油も想定するチームは満タン設定でマシンをコースに送り出しており、様々な思惑が入り乱れてのレース攻防となった。時折小雨がパラつきながらも路面コンディションは安定しており、ライン上は徐々に乾いていく。このため、加賀山、中須賀克行選手、柳川明選手、高橋巧選手らで構成されるトップグループは1分38秒から37秒台と、ウエットではかなり速いペースでラップしていく。ここに早く追い付きたい津田だったが、上位陣が37秒台へタイムを入れていくタイミングでも38秒後半から中盤でのラップが続き、苦戦を強いられてしまう。さらに5番手を走行していた8周目の1コーナーでコースアウトしてしまい、7番手までポジションを落としてしまう。

3周目に柳川選手がトップに立ち、8周目に中須賀選手がこれを奪う展開となったが、12周目に柳川選手が転倒。加賀山が自動的に2位に浮上する。ここからテールtoノーズでトップの中須賀選手の背後に付ける加賀山。可能であれば40周を無給油で走りきりたい加賀山は、とにかく燃費を稼ぎ、タイヤへの負担を抑える為、あえて中須賀選手の前には出ず、スリップストリームを積極的に使いながらマシンの力を温存していた。トップグループの中から高橋選手がミスして離れ、レースは加賀山と中須賀選手のマッチレースになっていく。

31周目の1コーナーで加賀山がトップに出た。しかし2コーナーへのアプローチで中須賀選手がクロスラインから再びトップに。このシーンは再び、33周目にも繰り返された。しかしこれは加賀山の想定外のことで、ちょっとしたライディングミスから前に出てしまっただけで、まだマシンの力を温存する作戦を加賀山は実際には実行していた。

上位陣に動きが出たのは34周目だった。中須賀選手がここでピットイン。そしてちょうどこのタイミングでハイポイントコーナーからバックストレッチにオイルが出てしまい、この処理のためにセーフティカーがコースに入ることとなった。トップグループの中でピットに入ったのは中須賀選手のみ。加賀山、高橋選手、津田のオーダーで、セーフティカーの後ろをスロー走行していく。このセーフティカーの入ったタイミングがレースにどんな影響を及ぼすのか注目されたが、結局、37周目に入るところで、オイル処理が間に合わないほど大量に出てしまっていることから赤旗が提示され、レース成立26周を超えていたため、そのままフィニッシュとなった。この結果、優勝は加賀山、3位津田と、スズキ勢の1、3フィニッシュとなった。

またこの日の最終レースとして行われたJ-GP2クラスでは、スズキGSX-R600のエンジンを搭載するマシンをライディングする生形秀之選手が予選2番手からスタート。序盤は6位と出遅れたが、そこからハイペースで追い上げ、3位フィニッシュ。ここまでの3戦総てで表彰台獲得という安定した速さを見せている。

津田 拓也 ヨシムラスズキシェルアドバンス 3位
「事前テスト、さらにレースウイーク金曜日のART合同テスト、土曜日の予選とセットアップも順調に進んでいました。予選のアタックラップの最後に前をふさがれてしまったのは想定外でしたが、それでもフィーリングは良かったので、そこまでの流れは悪くなかったと思います。ですが決勝は大雨が降り、それが止んで、路面が刻々と変化する中でのレースはとても難しいものになってしまいました。ドライ、ウエット両方のセッティングは良いレベルで仕上がっていると思っていたのですが、決勝の難しいコンディションへの対応は、残念ながら今の自分のマシンではできていませんでした。そのあたりの幅の持たせ方が上位陣に対して自分は出来ていないと痛感したので、今後はそのあたりの詰めも行っていきたいと思います。ペース的には良いものはありませんでしたが、それでも3位表彰台を得たのは大きな収穫でした。もう一度総てを見直し、より高いレベルのレースができるようにしたいと思います。」

加賀山 就臣 Team KAGAYAMA 1位
「とてもひどい雨が降ってしまい、レースができるのかどうか分からないような状況になったにもかかわらず、多くのSUGOのスタッフがレース開催のために清掃作業をしてくれて、無事にレースができました。本当にありがとうございました。とても難しいレースで、とにかく燃費を稼ごうと、中須賀選手のスリップを積極的に使わせてもらって、結果的にそれが功を奏することになりました。僕のチームは本当にたくさんの方々の応援で成り立っていて、なんとか結果でその恩を返そうとレースを戦ってきているのですが、今回はその方々一人一人に、ありがとう! と伝えたいです。本当にありがとうございました。今年はセットアップの部分で苦戦を強いられていますが、これで良い流れに持っていくこともできると感じています。さらに頑張ります!」

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