[HONDA]MotoGP Rd.8 オランダ プレビュー

第8戦オランダGPが、6月26日(木)から28日(土)までの3日間、オランダ北東部に位置するTTサーキット・アッセンで開催されます。アッセンで開催されるオランダGPは、グランプリでは最も長い歴史と伝統を誇り、1949年の第1回大会から休むことなく開催されてきました。アッセンは、第1回大会から6月最終週の土曜日に決勝レースが行われてきました。その伝統は今も続き、今年で66回目を迎えます。

その長い歴史の中で、グランプリサーキットも数々の変遷を経てきました。初めてグランプリが開催されたころは、公道を使用するロングコース(16.536km)でしたが、その後、マシンやタイヤの進化に合わせ、これまで何度もコースの改修を受けてきました。2006年には、コース前半の高速セクションが大幅に改修されて、長らく続いていた全長5.997kmから4.555kmへと短縮され、さらにシケインの部分的な改修などによって2010年からは4.542kmになっています。

06年の大幅なコース改修でコーナーの数も23から17に変更されました。長らく続いた5.997km時代は、高速コーナーが連続し、個性が際立つサーキットとして選手たちに歓迎されていました。現在は一般的なコースレイアウトへと変更になりましたが、依然として高速サーキットの一つであり、フィリップアイランド(オーストラリアGP)、シルバーストーン(イギリスGP)、ムジェロ(イタリアGP)に次ぐアベレージスピードとなっています。また、パッシングポイントが多く、毎年熱いバトルが繰り広げられます。

アッセンは、天候が変わりやすいことでも知られ、目まぐるしく変わる天候を称して“ダッチウェザー”と呼ばれています。そのため、ドライコンディションでは確実にセットアップを進めることが重要になり、チーム力とライダーの適応力が問われる大会となっています。昨年の大会も“ダッチウェザー”に苦しめられるレースウイークとなりましたが、ルーキーのマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、数少ないドライコンディションでセットアップを進め、決勝では2位表彰台に登壇。今年はRC213Vのパフォーマンスを引き出し、開幕戦から7連勝中と大きな成長を感じさせるシーズンとなっているだけに、優勝への期待が膨らみます。

今大会は得意とするサーキットの一つ。マルケスは、125ccクラスに出場していた10年にアッセンで初優勝、11年、12年はMoto2クラスで2連勝を達成しています。今大会は、史上最年少記録を更新中の連勝記録だけでなく、昨年のドイツGP、今年のイタリアGPに続き、3大会目となる3クラス制覇に挑みます。

チームメートのダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)も、上り調子でオランダGPを迎えます。スペインGPのあとに行った右腕の“腕上がり”の手術からも順調に回復していて、前戦カタルニアGPでは優勝争いに加わって3位でフィニッシュしました。その勢いをオランダGPにもつなげる意気込みです。

昨年の大会では、目まぐるしく変わる天候に翻ろうされて予選5番手、決勝もセッティングを詰めきれず、スライドするタイヤと格闘して4位に終わりました。オランダGPでは、125cc時代に優勝経験がありますが、250ccクラス、MotoGPではこれまで優勝はありません。今年はシーズン初優勝と最高峰クラスでのオランダGP初制覇に挑みます。

前戦カタルニアGPで5位になったステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)も、オランダGPに向けて闘志をかき立てています。昨年の大会では、予選3番手になり、MotoGPでは初のフロントローを獲得。決勝は6位へとポジションを落としましたが、大きな飛躍を遂げる大会になりました。ブラドルにとって、オランダGPは第2のホームGPと言っても過言ではありません。毎年、隣国ドイツから大勢のファンが駆けつけてくるため、高いモチベーションで挑むことになります。次戦は、ホームGPのドイツGPとなるだけに、今大会は重要な一戦となります。

第5戦フランスGPで今季初表彰台となる3位になったアルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)が、3戦ぶりの表彰台を目指して気合を入れています。フランスGPのあと、第6戦イタリアGP、第7戦カタルニアGPと、2戦連続でセットアップを詰めきれずに苦戦が続いています。しかし、大会後に行われた公式テストは、収穫あるテストとなり、今大会に期待をつなぎました。昨年の大会は予選8番手、決勝7位。今年は上位を狙います。

市販レーシングマシンの「RCV1000R」勢も今季ベストリザルトに挑みます。ニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)は、優勝経験のあるサーキットだけに気合満点。チームメートの青山博一も250cc時代の09年に優勝し、いい印象を持つサーキットだけに、ヘイデンとともに今季ベストリザルトを狙います。Moto2クラスで過去2年連続表彰台に立っているスコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)、カレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)も得意のコースに気合を入れています。

Moto2クラスは、厳しい戦いが予想されます。昨年の予選は、ポールポジション(PP)から1秒差以内に20台がひしめき合う大接戦となりました。今年は一段と厳しい戦いが続いているだけに、予選のアタック合戦と決勝のバトルに大きな注目が集まっています。

今季4勝を挙げて総合1位のエステベ・ラバト(Marc VDS Racing Team)は、イタリア、カタルニアに続く3連勝を狙います。チームメートで総合2位のミカ・カリオは、第4戦スペインGP、第5戦フランスGPで2連勝していますが、その後は2戦連続で表彰台を逃しているだけに、ばん回に闘志満点。今大会はラバトとのチームメート同士の戦いに注目されます。総合3位のマーベリック・ビニャーレス(Paginas Amarillas HP 40)は、11年には125ccで、12年にはMoto3で優勝し、昨年もMoto3で2位と、アッセンを得意としています。前戦カタルニアGPでは2位になり、5戦ぶりに表彰台に立ちました。今大会は今季2勝目と3度目の表彰台を狙います。総合22位の中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、初表彰台に闘志を燃やし、長島哲太(Teluru Team JiR Webike)は初ポイント獲得に挑みます。

Moto3クラスは、前戦カタルニアGPで初PPと初優勝達成のアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0)が2連勝を狙います。昨年の大会は初のアッセンでありながら予選2番手、決勝は大接戦の中で5位。Hondaマシンに乗り替えた今年は、優勝候補の筆頭に浮上しました。前戦カタルニアGPで3位になり、3戦ぶり今季4度目の表彰台に立ったエフレン・バスケス(SaxoPrint-RTG)は、初優勝に挑みます。また、前戦カタルニアGPの予選で転倒を喫し、左足を負傷しているアレックス・リンス(Estrella Galicia 0,0)は厳しい戦いとなりますが、チャンピオン争いにとどまるためにもポイント獲得に挑みます。総合3位のバスケス、4位のリンス、5位のマルケスの走りに注目されます。

■コメント
マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「ここまで本当にいい勢いをキープしてきましたが、こういうことがいつまでも続くとは思っていません。アッセンはすごく好きなサーキットです。125cc、Moto2では優勝しており、いい結果を残してきました。昨年は、MotoGPクラスで初めて走りましたが、2位になることができました。アッセンは天候が不安定なので、全く予測できませんが、初日からしっかりセットアップを進めていきたいと思います」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合3位)
「前戦カタルニアGPでは、再びトップグループで戦えるようになりました。そして、今週はオランダGPです。昨年、アッセンではいいレースができなかったので、今年はいいレースができることを願っています。アッセンは天候が目まぐるしく変わるので、ドライコンディションでのセッティングを有効に使わなければなりません。アッセンは好きなサーキットです。いくつかある高速コーナーでは、セッティングを決めて、タイヤのパフォーマンスをしっかり引き出すことが重要になります」

ステファン・ブラドル(MotoGP 総合8位)
「カタルニアGPではいいレースができたので、気分よくアッセンに向かうことができます。カタルニアでの5位は、大きな自信になりました。アッセンは、モーターサイクルレースを代表する大会の一つなので、いつも特別な気持ちになります。得意なサーキットではありませんが、昨年は予選でフロントローを獲得しましたし、決勝では6位になりました。カタルニアGPでも同じことを言いましたが、今の自分の目標はトップ5に入ることです。マシンのセットアップもよくなってきたので、この目標達成に向けて全力を尽くします。最大の問題は、アッセンの不安定な天候かもしれません」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP 総合11位)
「カタルニアGPの予選で大きな転倒を経験しましたが、幸いにも骨折などのケガはなく、万全な体調でオランダGPを迎えることができます。このサーキットは、ムジェロやカタルニアと同じように、いくつかの高速コーナーがあります。この数戦、高速コーナーでうまく走れていないので、このポイントの改善に全力を尽くします。カタルニアGPのあとのテストでは、ブレーキに関して若干改善することができましたし、今大会はニューパーツで挑めるかもしれません。転倒の痛みがあって十分なテストができませんでしたが、ここでは高速セクションの走りを改善できればいいレースができると思います」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合13位)
「カタルニアGPは腕の手術を受けたあとだったので厳しいレースになりましたが、いいレースができたと思います。アッセンは、これまでのサーキットに比べてストレートが短いので、この数戦ほどは苦戦しないと思います。アッセンは好きなサーキットで、これまでもいい結果を残してきました。今回もいいリザルトを残すこと、そして、気持ちよく乗れることを願っています。チームは全力で取り組んでくれています。アッセンはいつも天候が不安定ですが、うまくいけば、前回よりはいい結果を残せるはずです」

スコット・レディング(MotoGP 総合14位)
「オランダも好きですし、アッセンも大好きなサーキットです。サーキットの雰囲気も最高です。唯一の心配は、天候が不安定で、コンディションが変わりやすいこと。コンディションをしっかり見極めていく必要があります。このコースは大好きですが、MotoGPマシンで走るにはコースが狭いので、慣れるのに少し時間が必要かもしれません。コース序盤のスローセクションは問題ないとしても、後半の高速区間は厳しい走りが予想されます。カタルニアテストでは、リアのトラクションを改善できたので、それが今大会でのストレートスピードの伸びにつながると思います」

青山博一(MotoGP 総合15位)
「カタルニアGPでは技術的な問題があり、難しいレースになりました。チェッカーを受けることはできましたが、望んでいたような結果ではありませんでした。アッセンは、過去2戦に比べればショートサーキットなので、いいレースができると思います。アッセンは好きなサーキットで、これまでもいいレースをしてきました。天候が不安定ですが、いいレースウイークになるように全力を尽くします」

カレル・アブラハム(MotoGP 総合17位)
「アッセンはシーズンを通して最も好きなサーキットです。昨年の大会も、ここでいいレースができました。アッセンでは、自分を含めたRCV1000Rに乗るHondaライダー全員がいいレースをできると思います。カタルニアGPの転倒リタイアを忘れ、RCV1000R勢でトップフィニッシュした2戦前のイタリアGPのようないい状態を取り戻さなければなりません。いいバトルができることを願っています」

エステベ・ラバト(Moto2 総合1位)
「オランダGPでも、これまで通り、優勝を目指して全力を尽くします。アッセンは、切り返しが続く高速コーナーがあって、好きなコースです。体力的にもハードなコースですが、いつも通りフリー走行からプッシュして、決勝の準備をしたいと思います。シーズンはまだ半分も終わっていないので、チャンピオンシップを意識するよりも勝つことを目標に戦います」

ミカ・カリオ(Moto2 総合2位)
「今大会と次戦ドイツは、チームメートのティト(ラバト)より前でゴールすることが目標になります。チャンピオンシップのポイント差を縮めて夏休みに入らなければなりません。しかし、ラバトは好調なので、彼の前でゴールするのは簡単ではありません。イタリアとカタルニアでは、リアのハードタイヤのパフォーマンスをうまく引き出せずに苦戦しました。今大会は、スペインとフランスで使ったソフトタイヤで走れることを願っています。アッセンは、改修される前は世界最高のサーキットでした。改修されなかった後半セクションは今でも好きです」

マーベリック・ビニャーレス(Moto2 総合3位)
「前戦カタルニアGPは、予選でやっといい状態になりましたが、勝つには遅すぎました。そんなことでは、ライバルたちの前を走ることはできません。今大会は、早い段階でいいセットアップを見つけることが重要になりますし、初日からいい走りをしたいと思います」

中上貴晶(Moto2 総合22位)
「思うような結果が残せないレースが続いているので、カタルニアGPのあと、カタルニアで1日、アラゴンで2日間のテストを行いました。フロントのフィーリングを改善できたし、ロングランもできました。昨年のアッセンでは、ケガをして決勝を走っていないので、2年ぶりになります。今度こそ……という気持ちで挑みます」

長島哲太(Moto2 ノーポイント)
「前回のカタルニアGPではポイントを獲得できませんでしたが、内容は悪くありませんでした。転倒車のパーツに乗って転んでしまい、再スタートを切って23位でした。決勝日のウォームアップでも転び、左腕をかなり強く打ったので、痛みがひどかったです。決勝では痛みを忘れて走りましたが、アッセンまでの間に回復しました。今回はポイント獲得を目標に挑みます」

エフレン・バスケス(Moto3 総合3位)
「カタルニアで再び表彰台に立つことができて、自信を取り戻しました。チャンピオンシップでもHonda勢のトップにいますし、これはとても大事なことです。これからもポイントを獲得しなければならないですし、これまで以上にがんばらなければなりません。旋回性に課題を抱えているので、今大会はそれを解決するために全力で挑みます」

アレックス・リンス(Moto3 総合4位)
「カタルニアGPの予選で転倒し、左足のつま先に3カ所、小さな骨折をしているので、アッセンは厳しいレースになります。もし痛みがひどいようなら、プラクティスでは周回数をセーブして、大事な決勝に備えたいと思います。昨年はアッセンの攻略に苦労しました。今年はHondaのマシンになったので、いい走りができることを願っています」

アレックス・マルケス(Moto3 総合5位)
「アッセンは昨年初めて走りましたが、コースレイアウトが自分のライディングスタイルに合っていて、最初から気持ちよく走れました。今年はHondaのマシンで走りますが、合っているコースだと思います。しかし、走ってみないと分からないので、セットアップに集中します。ここは天候が変わりやすいので、コンディションに合わせてセットアップをしなくてはいけません。前戦カタルニアGPで優勝することができましたし、その後のテストでもよかったので、本当にいい状態でレースウイークを迎えることができそうです」

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