バイクに乗る目的とは…

道路を良くしても、クルマの性能を上げても、ドライバーの運転技能を高めても、人々が受け入れるリスク水準が変わらない限り、安全率は向上しない。これは交通心理学の世界では有名な「リスク・ホメオスタシス理論」という考え方です。

簡単な例を挙げてみましょう。ABS付きのモデルはたしかにより安全になっていますが、多くのライダーの場合、安心感から逆にスピードを上げたり、注意力が緩むことにより、ABSによって生み出された安全マージンを使い果たしてしまう、ということです。そう言われると、たしかに身に覚えがある気がしませんか? ドライバーは工学的な安全度の向上を自分の動機づけを満足させるための道具として利用するのが常だそうです。だから、いつの時代も交通事故はなくならない。悲しいかな、それが人間の本性とも言えるようです。

ただ、運転行動には階層というものがあって、マシンの性能や習得したスキルの使い方は、その人の目的によって変わってくるということが分かってきています。例えば、「バイクがすべて」という若者(とは限りませんが)は、運転にスリルを求める傾向があります。それは、バイクの腕を誇示すること自体が目的だったりするからです。一方、「バイクはより豊かな人生を送るため」と考える人は、きっと社会や家族とのつながりを大事にする人でしょう。バイクに乗る目的とは……。人によって千差万別でしょうし、それでいいと思いますが、一度じっくり自分に尋ねてみてもいいかもしれませんね。

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