カタログの見方

先日、スクールでの話。参加者のひとりから相談を受けた。

「スポーツモデルに買い替えたいのですが、600ccと1000ccのどちらにしようか迷ってしまって・・・」という。
続けて、「カタログを見ていると、排気量は倍近く違うのに車重は10kgちょっとしか変わらないので、ハンドリングはそう変わらないし、当然1000ccのほうが速くて面白いですよね」と同意を求められた。
ちょっと待った! 物事そう簡単ではない。
排気量が大きいということはパワーがあるということで、その動力を使いこなすのは難しくなるし、スペック上の車重はそう変わらなくても、ハンドリングは大きく異なったりするものだ。

スポーツモデルなどではよく兄弟車があったりする。フレームはほぼ共通でエンジンの排気量が異なるタイプだ。スペックだけ見ると、たしかに排気量以外あまり変わらない。ただ、そこが陥りやすい盲点。
排気量が大きくなればエンジンは当然大きく重くなる。そして、毎分数千回転という物凄い勢いでクランクが回転している。
回転するモノには慣性力が生まれるが、これが曲者。
ジャイロ効果とも言うが、簡単に言うと回転するコマと同じで、倒れにくい性質が生まれるものだ。そして、重量が大きくなるほどジャイロ効果も大きくなる。
つまり、ハンドリングは重く頑固になるのだ。

もちろん、そうならないようにバイクには様々な技術的工夫が凝らされてはいるが、物理の法則は曲げられない。
また、同じ排気量でも、単気筒より2気筒、4気筒と気筒数が増えるほど、構成部品も増えてエンジンも重くなる傾向がある。
バイクのカタログを見ていると、「ミドルクラスのハンドリングとリッタークラスのパワーを併せ持つ」とか「ツインならではの軽快感」などの表現が並ぶが、これは宣伝文句だけではなく以上のような理由があるからのだ。
カタログのスペック表に隠された情報を読み解きながら、そのモデルの走りに思いを馳せるのもまた楽しいものなのだ。

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

国産・外車を問わずミニモトからビッグバイクまで、どんなバイクでも乗りこなすモータージャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。
16歳から乗り継いだバイク30台、テストライド経験300台以上。装備や用品、カスタムパーツのテストも数多くこなしてきた。
MFJ公認インストラクター。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。

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