「三ない運動」の遺産

先日、自工会が発表した2013年度の二輪車市場動向調査について、気になる報告があった。二輪車市場が直面している長期的な需要減少に関わる、「『三ない運動』方針転換時点における中高生層意識の把握」というレポートだ。

「三ない運動」とは、高校生に対してバイクの「免許を取らせない」「買わせない」「運転させない」をスローガンとし、1970年代に愛知県で始まった運動が全国に広がっていったとされている。当時、二輪車の交通事故の増加や、騒音・危険走行等のマナー悪化などにより「二輪車は危険なもの」といった否定的なイメージが広がり、1982年に全国高等学校PTA連合会は「三ない運動」の推進を決議した。

しかし、その後16歳以上での免許取得が法律で認められていること、公共交通機関が未整備な地域では二輪車は有効な交通手段となること、禁止するよりは適正な指導を行うほうが良いという意見も出され、PTA連合会でも「三ない運動」を緩和する方針となり、ついに2012年には「自転車や歩行者での立場も含めたマナーアップ運動」に衣替えすることを発表。現在、「三ない運動」は大きな方向転換を迎えている。

ただし、一般市民、中高生の親ともにほとんど「三ない運動」方向転換は認知されておらず、依然、自身の子どもが二輪車を運転することについて親の抵抗感は強く、中高生自身も親の時代よりもさらに「二輪車に乗ってはいけない」という規制意識が強まっている傾向がうかがえるという。

新車購入ユーザーにおいて、「10代」「20代」「30代」の比率が年々減少している昨今、これは忌々しき事態である。バイク=危険な乗り物、と思われがちだが、近年は自転車や歩行者の事故が増加しているのに対し、二輪の事故件数は年々減少している。また、30年前に比べて今のバイクはだいぶ安全になった。いつの時代でも、バイクが危険なのではなく、それを操る人間が危険なのである。私も子を持つ親の気持ちはよく分かる。ただ、刃物と同じで、「危険だから」と遠ざけて道具の正しい使い方を教えなければ、いつか大怪我をする。今こそ、バイクに対する正しい理解と教育こそが大事と思うのだが。

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

【関連ニュース】
◆JAMA、「2013年度二輪車市場動向調査について」公開

ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

国産・外車を問わずミニモトからビッグバイクまで、どんなバイクでも乗りこなすモータージャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。
16歳から乗り継いだバイク30台、テストライド経験300台以上。装備や用品、カスタムパーツのテストも数多くこなしてきた。
MFJ公認インストラクター。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。

この著者の最新の記事

関連記事

ページ上部へ戻る