「ドゥカティ916」や「F4」の生みの親、タンブリーニ氏逝去

イタリアの至宝と呼ばれる「Bimota(ビモータ)」の創設者の一人であり、後にドゥカティやMVアグスタのデザインを手がけた天才モーターサイクルデザイナー、Massimo Tamburini(マッシモ・タンブリーニ)氏が4月6日に他界した。享年70歳。死因は肺がんと伝えられている。

タンブリーニは1943年11月28日にイタリア・リミニ生まれ。73年に仲間3人とBimotaメカニカ社を設立。社名は3人の名前の頭文字をとったことや、当時は空調設備会社だったビモータが、タンブリーニが熱を上げていたロードレースの趣味が高じて、フレームビルダーとして別部門を作ってしまった逸話は有名だ。やがて、ビモータ製のフレームを採用したレーシングマシンの活躍が評判となり、80年にはヤマハTZ350のエンジンを搭載した「YB3」がWGP350ccクラスで優勝するに至って、ビモータは本格的なモーターサイクルメーカーとして歩み始めることになる。

その後、タンブリーニは83年にカジバに移籍し、当時グループ企業であったドゥカティやMVアグスタの主力モデルの設計を担当。93年にはカジバの研究開発部門である「CRC(カジヴァ・リサーチセンター)」のディレクターに就任した。彼の作品には「ドゥカティ916」や「MVアグスタF4」など、その後のモーターサイクルの歴史を変えた名機が名を連ねる。ちなみに欧州メーカーで言う「デザイナー」とは単にカタチを描くだけでなく、エンジンやフレームレイアウトも含めた車体全体を設計することも多く、エンジニア的な要素が強い。ビモータ由来のスチール鋼管を溶接して組んでいく、いわゆるトラスフレームはタンブリーニが考案したものと言われ、その流れは916を始祖とする1198までのドゥカティ・スーパーバイクシリーズや、MVアグスタの現行F4&F3シリーズやブルターレにも受け継がれているのは周知のとおりだ。

916シリーズの鋭く研ぎ澄まされたサラブレッドのようなフォルムや、パイプオルガンにも例えられる4本マフラーに象徴されるF4のまるで芸術品のような美しさは、見るものの心を一瞬にして虜にしてしまう魔力を持っている。タンブリーニはその具体的なイメージを、あたかも以前からそこにあったかのように白紙にフリーハンドで描いてみせたという。彼の残した作品には、モーターサイクル界のミケランジェロと称された天才の魂が今も宿っている。

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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