【試乗インプレッション】「YZF-R1」完全なる官能性能を引っ提げた待望の国内仕様

1-main

欧州仕様のR1に試乗してから約半年。遂に日本仕様のR1がリリースされた。外観的にはエンジン左側に遮音板が増設されたくらいで、スマートで丁寧な造形はそのまま。カラーバリエーションは欧州仕様と同じだ。もちろんYCC-T、YCC-Iの制御系、レスポンスタッチ変更のDモードも搭載。これまでになく小柄で精悍なR1であり、磨きたくなるような美しさまである。
 だがひとつ問題がある。出力規制が撤廃されたとはいえ、騒音規制のために動力性能格差が生まれる日本仕様化である。たしかにスペック上、ピークパワーは40馬力ほどマイナスの145馬力になっている。しかし、バイクはバランスで走るのだ。このR1、牙を抜かれても、爪を丸められてもいなかった。
 09年モデルがこれまでのR1と大きく違うのは、270度クランクのツインを180度位相して2つ組み合わせたようなクロスプレーンクランクを採用したこと。これで直4としては革命的に力の質を変えた。恐ろしくドライな感触の、リニアで力強いレスポンスで応える。また、ひとまわり小さくなった印象の車体、フレームも味つけが違う。ねじれ特性を見直し、しなやかだが芯のあるハンドリングと、R1史上、もっとも軽快な身のこなしまで獲得した。これらで、他にない「扱いやすさ」や「愉しさ」を求めたことだ。(TEXT:宮崎敬一郎 PHOTO:赤松 孝)

1-1R1の持つ優れた能力をいかに美しく視覚化するかがデザインの基本コンセプト。薄く伸びやかな躍動的ラインで構成されたカウルや、印象的な2つのヘッドライトなどがそう。走る姿ではなく、そこに停まっている姿を見ているだけで、最高のパフォーマンスが伝わってくるようだ。1-2カウルを外した状態でも、強度リブの造形にまでこだわったエンジンなど、凝縮されたメカニズムの美しさが感じられる。1-3カラーはブラックメタリックX(左)、ディープパープリッシュブルーメタリックC(中)、ブルーイッシュホワイトカクテル1(右)の3色。1-4左右に振り分けられたアップマフラーは最近のR1の特徴。軽量で短いサイレンサーは、十分な容量を稼ぎながら、リアタイヤの存在感を強調するデザインでもある。1-5クロスプレーンクランクは隣り合うピストンをそれぞれ90度位相させたクランク。これにより爆発間隔が不等間隔となって慣性トルクのノイズが消え、ダイレクト感に繋がるという。1-6ヤマハの「GENESIS」思想では、エンジンはハンドリング向上にも使われる。エンジン自体のサイズダウンに加え、クロスプレーンクランク採用も、新次元のハンドリングのためだ。

ページ:

1

2 3

関連記事

ページ上部へ戻る