ライテク表現のワナ

ライディングスクールでは参加者からいろいろな質問を受けるが、最近その会話の中で気になっている言葉がある。「一気に」という表現だ。先日、コーナリング系のトレーニングをやっているときのこと。あるライダーから「コーナー入口では、バイクを一気に倒し込むんですよね?」という質問に続いて、他の方からも「コーナー手前で一気に減速したいのですが……」などと相談された。

雑誌などを読んでいると、たしかに「一気に」という表現を目にすることがある。アグレッシブで魅力的な響きだ。ただ、その語感が曲者である。
辞書で引くと、「ひと呼吸で」や「すぐに」と意味が出ている。たしかに、倒し込みやブレーキングはダラダラとやるものではないだろう。ただ、「一気に」という語感の中には、「素早く」、「一瞬で」というニュアンスが入り込んでいるような気がする。それをイメージどおり、実際の操作でやってしまうと、ブレーキングで前輪ロックして転んだり、倒し込みでスリップダウンしたり、といった具合にたいそうハイリスクである。

つまり、言葉を額面どおりに受け取ると、間違いを犯す可能性があるということ。私としては、こうしたミスを防ぎたいので、前述の質問に対しては「一気に」ではなく、「一回で」とか「一定に」というように言葉を置き換えることにしている。

ライテクに使われる常套句がいろいろあるが、その言葉が意味するところは何なのか、よく咀嚼してその真意を探ることもまた、スキル向上や安全向上には大事と思う。

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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