2014年のMotoGPからCRTがなくなる!?

世界最高峰の2輪レース、MotoGPクラスには、現在24人のライダーがフル参戦しているが、そのうちの12台は「プロトタイプマシン」、残りの12台は「CRTマシン」である。

「プロトタイプマシン」とはホンダのRC213VやヤマハのYZR-M1のように、ファクトリー(車両製造メーカー)が文字通りゼロから作り上げた最先端マシンのこと。
対する「CRTマシン」は、参戦チームが独自に製作したフレームに量産車ベースのエンジンを搭載しているのが特徴だ。

そもそもCRT(クレーミング・ルール・チーム)とは、クレーミングルール(買い取り請求規則)により、例えばファクトリー勢などから要請があれば、あらかじめ取り決められた金額でエンジンを売却しなければならない規制を課せられたチームのこと。その代わり、年間で使えるエンジンの数が多かったり、燃料タンク容量も大きく設定できるなど、有利な条件で戦える。

CRTは元々、MotoGPクラスへの参加台数を増やす目的で2012年から新たに導入されたレギュレーションだが、当初の目的は達成されたもののワークスマシンとの性能差は歴然であり、2年目の今年もその状況に変わりはない。ちなみに各サーキットでのラップタイム差はときに3秒以上、CRT勢ではトップ10入りも厳しい状況だった。つまり、同じカテゴリーとして“レースになっていない“ということだ。

この状況を踏まえ、本来の最高峰レースに相応しいエキサイトメントなモータースポーツとして盛り上げようとコミッショナー側で協議を重ねた結果、この度2014年度から新ルールが導入されることになった。

まず、クレーミングルール(買い取り請求規則)が撤廃される。そこで、にわかに注目されるのが、各ファクトリーが開発を進めている市販レーサーの存在。巨費を投じて開発したワークスマシンの技術ノウハウを買い取られる心配がなければ、メーカーとしても安心してビジネスにできるというわけだ。ホンダはすでに報道されているとおり、2011年チャンピオンのケーシー・ストーナーを開発ライダーに指名し、RC213Vベースの市販レーサーマシンのテストを行っている。また、ヤマハも自陣のサテライトチーム「テック3」が使用するYZR-M1とほぼ同様スペックのエンジンを、有力シャーシコンストラクター(車体製造者)に年間リースする予定になっている。

簡単に言えば、2014年からのMotoGPクラスは、“ファクトリーマシンであるか否か”で分類されることになったようだ。ポイントはECU(エンジン・コントロール・ユニット)の仕様だ。ハードウエアに関してはすべてのマシンが「マニェッティ・マレリ社」製品を統一して使用することが決定されている。異なるのはソフト。ファクトリー勢は独自のECUソフトウエアを使用することができ、ノンファクトリー勢は共通の公式ECUを搭載することになる。

これ以外にも、ファクトリーとノンファクトリーでは、年間に許容されるエンジン数や燃料タンク容量などにも従来とほぼ同様の差別化が図られている。それだけ、今の時代は電子制御技術が重要な要素になってきているという証だろう。

まとめると、来季からは、

1.ファクトリーチームの最先端ワークスマシン
2.メーカーサテライトチームのプロトマシン
3.市販レーサーを使用するプライベートチーム
4.従来のCRTマシンを使用するチーム

といった主に4つの勢力による混走になると考えられる。

マシン性能差は依然あるにしろ、それぞれの勢力での接戦や階層を超えた“ライダーの腕”による戦いが見られそうで楽しみだ。

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

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ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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