Webikeニュース編集長「2013年頭ご挨拶」

明けましておめでとうございます。
本年も「Webikeニュース」を宜しくお願いいたします。

さて、今年最初のトピックスでは、誠に恐縮ながら、私なりの年始所感をお伝えできればと思います。

昨年末の総選挙で政権が交代し、成長を理念に掲げたいろいろな政策が打ち出されていますが、それが本当に筋書きどおりになるかは疑わしいものです。カラ元気を見せられているような虚無感を感じてしまうのは私だけでしょうか。

景気低迷が長期化し、その解決の糸口が見つけられないままの日本。お家芸だった製造業も海外からの激しい追い上げによって足元がぐらついています。

二輪業界も昨年末のデータを見るまでもなく、生産や輸出でも前年を下回っている状況が続いています。二輪不況と言われて久しいですが、20年前とは産業構造や人口構成が変化してしまった現在、この状況を打破することは簡単ではないでしょう。
「良い製品を安価に提供すれば誰もが喜んで買ってくれるはず」というのが、今までのモノ作りの常識でした。それはまったく正しい考え方だと思いますが、それだけではもうダメなんですね。今までのやり方が通用しない時代になってしまいました。
一例ですが、年末商戦でも唯一気を吐いたIT製品の中でも、とりわけ“リンゴ印”のスマホやタブレットは好調のようです。中に入っている部品はほとんど日本製らしいですが、買う側にとってはそんなことどうでもよくて、デザインやブランドイメージなどを含めた「その製品を持つことのカッコ良さ」が大事なのです。言い換えれば、カッコいい自分の演出と言ってもいいでしょう。リンゴ印はその演出力で他を圧倒しています。

バイクについても同じことが言えるのではないでしょうか。
品質や性能が良いのはすでに当たり前になっていて、そこでは勝負になりません。いくら価格を下げても、カッコ悪ければ見向きもしないのが今の消費者です。これは若者に限ったことではなく、ファッション革命の洗礼を受けた60代以降の団塊の世代でも同じ傾向だそうです。人類史上例を見ないスピードで高齢化が進んでいる日本では、これと呼応するようにバイクユーザーの年齢も上がっています。

その勢いに差はあるにしろ欧州も同様です。
大排気量のスポーツモデル、いわゆる“趣味のバイク”はそうした成熟したマーケットでのパイの奪い合いの様相を呈しています。バイクは趣味の道具としては、クルーザーやスポーツカーに次ぐ非常に高価なアイテムだと思います。そこにきて、相手は本物志向の熟練の消費者たちです。
つまり、ちょっとやそっとのモノ作りでは、注目を集められないという厳しい現実があります。二番煎じではきっとダメなんですね。デザイン的にイケてることは当然として、圧倒的に斬新なアイデアやサプライズが必要なのだと。

年末のコラムにも書きましたが、それを昨年やってくれたのが、HondaのNC700シリーズでした。結果は、大当たりでしたよね。こうした発想の転換は、自分を演出する一部でもある、ウェアやパーツなどについても同じことが言えると思います。
NC700は趣味の大型バイクに価格破壊をもたらした点でも素晴らしいと思います。若者のバイク離れという言葉自体も陳腐化していますが、所得が上がらない現代の若者たちには、高額なバイクは無理。いくら宣伝しても、無い袖は振れないのです。なら、原付や小排気量バイクでガマンするのか…・・・。否、感性の鋭い若者たちは、自分を表現するために、あるいはコミュニケーションを求めて他の趣味に行ってしまいます。そこをどう取り込んでいくのかが業界全体の課題ではないでしょうか。そういう意味では価格も重要と思います。

そして、世界に目を転じれば、アジアでのバイク需要が急速に高まっています。実用からスポーツへと、日本がかつて辿ったと同じ道を数倍の速さで追っかけてきています。もしかしたら国産メーカーにとって次のライバルは欧州車ではなく、アジアのメーカーかもしれません。そうなれば、ますます競争は激化するでしょうし、企業としては逆に言えばチャンスでもあります。

近い将来、クルマはITとの融合がより進み、頭で考えるだけで運転できるようになるという記事が新聞に出ていました。まるでSFの世界がすぐそこまで来ているのです。今までの歴史を振り返ってみると、ABSやトラコンなどの先進技術についても、バイクはだいたいクルマの後追いで進化してきました。“念じるだけ”で走るバイクの出現はだいぶ先になるかもしれませんが、バイクという乗り物がある限り、進化し続けることでしょう。

メーカーは日本が得意とするハイテク技術を駆使して、新しい時代のバイクのあるべき姿を描き、日本のモノ作りを再びリードしていってもらえたら、と願っています。それはきっと、皆が憧れる、誰もが欲しくなるバイクの姿をしていると思うからです。年始ですから、夢は大きいほうがいいでしょう(笑)。

今年も、すべてのバイク乗りにとって有意義な、世の中のためになるニュースを発信していこうと思います。どうか今年も引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、皆様のご多幸をお祈りして新年のご挨拶とさせていただきます。

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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