自らリスクを高めていませんか?

前回のコラムで「電子デバイス」の威力について書きましたが、知人から「バイクがそんなに進化して安全な乗り物になってしまったら、かえってムチャする人が出てきて危ないんじゃない?」という指摘をもらいました。

たしかに一理あると思います。
ABSやトラクションコントロールによって、安全性が高まることは良いことですが、安全が故に気の緩みも生じやすいでしょうし、ちょっとばかり無理な運転をしてもマシンが助けてくれるだろう、という考えにつながる可能性もあります。電子デバイスの進化により、今後は本人の“腕”を過信するのではなく、マシンの“性能”を過信する人が増えてしまう危うさをはらんでいるかもしれません。

運転者の行動傾向を表すものとして「リスクホメオスタシス理論」というものがあります。

この理論によると、「だれにでも、ここまでは許されるというリスクに対する許容値がある」そうです。その人にとってのリスク許容値を超える状況になって、はじめて減速するなどの回避行動をとるというのです。

つまり、人は誰でも「自分にとっての限界ギリギリで運転したがる傾向がある」ということ。それは運転者のレベルに関係なく、たとえばF1ドライバーから軽自動車のお婆ちゃんまで同じ行動傾向を示すというものです。

そして、何かの“理由”でリスク許容値を下回った場合には、ふたたびギリギリのところまで自ら行動リスクを高めてしまう。その理由となるのが「電子デバイス」というわけです。

このバイクは安全と思うから、かえって速度を出したり、アクセルを思い切り開けてしまう、ということです。

これまでは主に4輪において、「リスクホメオスタシス理論」が示唆されていましたが、最近では2輪の世界にも高度な電子制御が入りつつあるため、前述のようなことが危惧されます。進化していくバイクが悪いわけではありません。行動リスクを高めるか否かは本人の心構え次第なのです。
ただ、人は誰でも本来そういう傾向を持っているということを認識して、謙虚なライディングを心掛けたいものですね。

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