ボッシュが新世代ABS&トラコンを投入!

最近のモーターサイクルの進化には目を見張るものがある。特に技術革新が著しいのは電子制御の分野だ。

その代表格がABSとトラクションコントロールである。
ABS(アンチ・ロック・ブレーキシステム)とは、急ブレーキなどでタイヤがグリップ限界を超えてロックしたときに、これを自動的に解除して安全に減速させる装置のこと。ロックとリリースを極短時間に繰り返す仕組みで、いわばポンピングブレーキを1秒間に何十回も行っているようなものだ。

一方、トラクションコントロールシステム(トラコン、TCS)は発進や加速時において過度にホイールスピンしたときに、駆動力を制御して車体の安定を保つ仕組みである。ABSもトラコンも、もともとは4輪用に開発された技術だが、最近になってコストダウンやユニットの小型化が進み、モーターサイクルにも導入されるようになった経緯がある。こうした電子制御技術の進化によって4輪や2輪の安全性が高められてきたことに異論を挟む者はいないだろう。
そのパイオニアとも言えるボッシュ社が、ABSやトラコンの機能を一層加速させている。
同社は最新のモーターサイクル用ABS「Generation 9」に新しい機能を追加し、それぞれのモーターサイクルクラスに合わせて拡張可能なブレーキコントロールシステムを実現したという。

そのひとつが「オフロードコントロール機能付きABS」だ。従来の舗装道路用に設計されたシステムでは砂地や荒れた路面で制動距離が著しく伸びてしまうなど、ABSが逆効果な場合も多かったが、新機能ではブレーキ値とパラメーター調整により荒れた路面でも最適なブレーキ性能を発揮できるらしい。また、車体の安定性を損なうことなく、さらに強い減速や意図的なリヤロックによるドリフトやテールスライドなど、オフロードでの有効な車体コントロールも可能になるという。

もうひとつが「オフロード対応のトラクションコントロール」で、これは荒れた路面でも舗装路と同じように加速時の後輪のスピンを防ぎ、前輪の浮き上がりを抑えることができるシステム。傾斜角センサーによってコーナーでの最大駆動力を制御することも可能で、マシンの動的状態を1秒間に100回チェックしつつ、傾斜やリーン角だけでなく垂直加速度も計算するという。トラコンをダート用のモトクロスマシンに合わせて調整することもできるというから驚きだ。ちなみにこれらの機能は2013モデルのKTM1190 Adventureと1190 Adventure Rに搭載されることになっているというから楽しみである。

もはや電子制御はブレーキングだけでなく、車両ダイナミクスにおけるトータルコントロールの領域に入ろうとしている。昔ながらの人間がすべて操るバイクも良いものだが、高性能になっていくモーターサイクルを誰もがより安全に楽しむためにも、こうしたイノベーションは大いに歓迎したいところだ。
Webikeニュース編集長/ケニー佐川

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ボッシュ、アンチロック・ブレーキ・システムの追加機能を提供

ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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