電子デバイスってなに?

皆さん、ご存じのように、最近のバイクはいろいろな電子デバイスを搭載しています。電子デバイスというのは、バイクの走行状態をコンピュータによって電子的に制御する装置のことです。

バイクの運転の基本要素として「走る」、「曲がる」、「止まる」がありますが、これらを電子デバイスに当てはめると、「走る」=ライド・バイ・ワイヤーやパワーモード、「曲がる」=トラクションコントロール、「止まる」=ABSなどが、それぞれの要素を受け持っています。ライド・バイ・ワイヤーは従来のスロットルワイヤーではなく電気信号でスロットル操作に対するレスポンスを制御し、パワーモードはライダーが好みの出力特性を選択できます。トラクションコントールはコーナリング中にスロットルを開けすぎて後輪が滑ったときなど、これを感知して出力を間引くことでスライドをコントロールします。ABSはブレーキロックを自動的に解除し安定して減速することができる装置です。

私も仕事柄いろいろなバイクに乗りますが、その効果は絶大で、特に路面コンディションの悪いときほど心強いものです。なにしろ、雨の日でもロックを気にせず思い切りブレーキレバーを握れますし、コーナー立ち上がりではハイサイドの恐怖から解放されるわけですから。

電子デバイスの威力を象徴するような出来事が、先週のフランスGPでもありました。決勝レースで周回遅れの14位になってしまったサンカルロ・ホンダ・グレシーニのミケーレ・ピロは次のように発言しています。
「不運だった。キャリアで初めての周回遅れとなってしまった。非常に苦い味が残ってしまった。電子制御は全く役に立たなかった。電子制御のない状態でウェットを走るには非常に難しい。できる限りのベストなリザルトを持ち帰ることに全力を尽くした。とても残念だ」(motogp.com) つまり、レースの世界では今や電子デバイスなしでは勝負にすらならないのです。
電子制御技術はもともとトップカテゴリーのレースの世界で培われ、市販モデルへと普及してきました。電子デバイスはバイクをより安全かつ快適に操るためのライダーサポートシステムですが、4輪の世界では以前から当たり前のように組み込まれていたのに対し、2輪では普及が遅れていました。理由としては、バイク用にするには装置の小型化が必要だったり、軽量で不安定な乗り物であるが故によりデリケートな制御技術が求められること、コストの問題などもあったようです。

バイクは近年、著しい性能向上を果たし、特に高性能な大排気量モデルでは200ps近いパワーや300km/hに迫るスピードを持つに至りました。これらのマシンを安全に走らせるためには、もはやライダーの技能だけに頼っていては限界があることは誰が見ても明らかです。考えてみれば、クルマと違って周囲に囲いもなく、シートベルトやエアバッグで守られることのない不安定な乗り物を、ほとんど安全装置のない状態で今まで乗ってきたわけです。それをライダーの“腕”でカバーするのがバイクの醍醐味とも言えなくもないですが、せっかくあるのなら、文明の利器の力を借りてもいいしょう。安全に勝る価値はないのですから。

ただし、忘れてはいけないことがあります。こうしたハイテク装置を使いこなすのはあくまでも人間ということ。ABSもいざというとき使えてなんぼです。電子デバイスが付いたバイクに乗っている人は、その性能と特性を知っておくといいでしょう。ローテク主義の人もたまには試乗会などで最新のテクノロジーに触れてみて、その安心感を体感してみるのもいいかもしれませんよ。

関連記事

編集部おすすめ

  1. 鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会は、鈴鹿市役所 1階の『モータースポーツ振興コーナー』…
  2. 生活の可能性が拡がる喜びを提供 Hondaのナイジェリアにおける二輪車生産販売子会社「ホン…
  3. オートバイパーツ・用品の販売を全国展開する2りんかんは、バイク乗りコスプレイヤーの「美環(み…
  4. ボッシュが形づくる二輪車の未来 ボッシュは、自社のモーターサイクル&パワースポーツ事業が、…
ページ上部へ戻る