2010年全日本ロードレース選手権前半戦総括レポート

悪天候のためレース中止となった第3戦オートポリス(5月23日決勝)を終え、シリーズ前半戦が終了したMFJ SUPERBIKE・全日本ロードレース選手権。土曜日に決勝レースを行ったGP-MONOクラス以外は、予選結果にハーフポイントが与えられることになった。また日曜日に全レースが中止になったのは1996年9月22日(日)の第9戦筑波大会以来、約14年ぶりのことだ。最近では、2007年第5戦 SUGOで最後に予定されていたGP250クラスが他のクラスのアクシデントによりスケジュールがおし、日没のため中止となったこともある。

■JSB1000 20歳の高橋巧がランキングトップでシーズンを折り返す

JSB1000クラスは、前半戦を終え20歳の高橋巧が暫定ポイントリーダーとなっている。高橋は、JSB1000クラス2年目、今シーズンよりトップチームであるハルク・プロに移籍したものの、ここまでの活躍は本人でさえ予想しなかっただろう。「オートポリスがハーフポイントではなかったから、ランキングトップはキープできなかったもしれません。今の自分の成績はチームのおかげだと思っています。この後、鈴鹿300km、鈴鹿8耐とマシンに乗る機会も多くなるので、スキルを上げて後半戦に臨みたいです」と高橋。

この高橋を4ポイント差で追っているのがゼッケン1をつける中須賀克行だ。ここまで優勝はないものの、右肩を痛めたまま臨んだ開幕戦筑波で3位、第2戦鈴鹿ではトップ争いを繰り広げて3位と、しっかり表彰台に上がると、第3戦オートポリスでは予選の段階で日曜日が中止になる可能性を考慮し、全力で戦い2位というリザルトを手に入れている。ヤマハのエースとして、同じヤマハの先輩であり監督でもある平忠彦(1983〜1985年GP500クラス)、ヤマハMotoGPの開発ライダーを務めている藤原儀彦(1987〜1989年GP500クラス)と並ぶ3年連続チャンピオンを狙っている。

一方“ラストシーズン”と位置付けて臨んでいる伊藤真一は、思うようにレースができていない。開幕戦筑波では急激に下がった気温にチョイスしたタイヤが合わずに2周目に転倒。第2戦鈴鹿では予選で他車に巻き込まれて転倒し、左右の肩甲骨骨折、左腕のはく離骨折という傷を負いレース欠場を余儀なくされる。第3戦オートポリスも全快ではなかったが、痛みをこらえてマシンにまたがった。予選では6番手まで順位を上げ、結果的にこれが今季初ポイントとなっている。次戦は伊藤の地元である宮城県・SUGO。最後となるだけに、万全の体制で表彰台の頂点を狙いたいところだ。

カワサキのエース柳川明、今年こそタイトルが欲しい亀谷長純、そして第2戦のウイナー秋吉耕佑などもチャンピオンを狙っている。

■ST600 ピレリショックは続くのか!? 山口辰也がランクトップに浮上

今シーズンも全日本一の激戦区となっているST600クラスだが、全く違う風が吹いている。開幕戦筑波の予選ではトップ10のうち8台をピレリタイヤユーザーが占め、旋風を巻き起こした。しかし、決勝では、その風を世界帰りの中上貴晶が吹き飛ばし優勝を飾った。世界帰りとはいえ、中上はまだ18 歳。ST600クラスも初めてということを考えれば、まだまだ成長する可能性がある。後半戦の走りに注目が集まる。

オートポリスを終えた時点でランキングトップに着けているのは山口辰也だ。山口は昨年、JSB1000クラスでランキング3位となったものの、今年はプライベート体制でST600クラスに臨んでいる。レース経験は豊富な山口だが、自らチームを率いるのは初めてのこと。マシン、タイヤはもちろん、スタッフとのコミュニケーションを取りながら、やっとまとまってきた状態だ。後半戦は、その速さに、さらに磨きがかかるかもしれない。

暫定ランキング2番手の大崎誠之もJSB1000クラスからのスイッチ組。オートポリスの予選では圧巻の速さを見せていた。大崎から1.5ポイント差で3番手につける國川浩道も自らチームを結成し参戦。ピレリをチョイスし健闘している。

スポット参戦でポイントを獲ったライダーも多く、2戦続けてポイントを獲っている者は少ない。まだまだタイトルの行方は見えてこない状態だ。

■J-GP2 小西良輝が牽引。山口がダブルエントリーを敢行

JSB1000クラスと混走で行われているJ-GP2クラス。オリジナルフレームのマシンも参戦できるが、現状ではST600の車体にスリックタイヤという組み合わせが大半を占めている。開幕戦、第2戦鈴鹿と小西良輝が速さを見せているが、第2戦鈴鹿から山口辰也がST600仕様で参戦。J-GP2クラスのトップを争う速さを見せている。第3戦オートポリスでは、山口と小田茂昇がST600クラスとダブルエントリーを敢行。予選では、山口がトップタイムをマークしていた。後半戦も、このようなライダーが増えれば単独開催される可能性も出てくるだろう。

■J-GP3 ユースライダーが速さを身につけ頭角を現す

開幕戦筑波で大久保光が優勝、オートポリスでは山本剛大がポールポジションを獲得するなど、若手ライダーの成長が著しい2010年シーズン。マシンのレギュレーション変更の影響もあり、ラップタイムは伸び悩んでいるが、ランキング上位にティーンズライダーが多いことは、日本のレース界にとってはいいことと言える。

もちろんベテランライダーの壁を越えていってもらえば一番いいのだが、ディフェンディングチャンピオンの菊池寛幸、徳留真紀などは、まだ本調子にほど遠い状態でやや出遅れている。

渡部ユヰ、高杉奈緒子と女性ライダーも2人が参戦し、ポイントを獲得しているのも話題の一つだろう。

■GP-MONO 小室旭が悲願のタイトル奪取に向けて2連勝

昨年、最終戦決戦で敗れ惜しくもタイトルを逃した小室旭が、全戦全勝しそうな勢いだ。その決意は昨年以上のものを感じさせ、プレッシャーさえも楽しんでいる。得意の筑波は圧勝、オートポリスも激戦を制し2連勝を飾り、タイトル街道をばく進している。これを10ポイント差で追っているのが谷川壮洋だ。開幕戦はトップに離され3位だったが、オートポリスでは小室と一騎打ちのトップ争いを繰り広げた。惜しくも最終ラップに転倒を喫するが、すぐに再スタートし3位に入る健闘を見せた。そして暫定ランキング3番手の藤井謙汰は、今シーズンよりHondaエンジンにスイッチ。開幕戦では追い上げを見せ小室の背後まで迫る2位、オートポリスではコースレコードを大幅に更新しポールポジションを獲得する速さを見せた。雨の決勝では苦戦したものの、その速さを見せつけた。

オートポリスで2位に入った川野泰成、復帰した岡田義治、SUGOラウンドに参戦予定の中木亮輔など、タイトル争いの行方を左右する存在が出てくるかもしれない。

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